あ あれ 先生だ 安西先生 何してるの やあ高屋敷君 良いところです 丁度探してたので なにか用でもあるの ええ、まあ、君の為に 僕に?何かくれるの くれると言うか… 兎に角、おいで ああ違います 私を見ずに そうそう 背中を 失礼 よ っと ええと 巻きねじ ああ有った ではキリキリ 巻き過ぎに注意 でも素早く丁寧に 間を空けずキリキリ キリキリキリキリキリ キッ、とと、危ない ついやり過ぎます はい、お仕舞い 済みましたよ 高屋敷君? ん?あれ ああ… あれ 僕 今… 何だろ 変だなあ 何がです? うんと、あの 僕今何してた? 少しぼうっとして 返事をしてくれずに 先生寂しかったですよ ああ、そうだった? 悪気は無いんだよ 記憶が飛ぶんだ 最近、急にさ ごめんね? ん、いえ しかし ふむ 故 いや 病気? そうかも 病院かなあ ああその前に 私が見ますよ? 先生が見れるの? はい、資格もあるし ある程度なら直します へえ、本当すごいね じゃあお願いする では、工房へ… え、工房って 間違いです 診察室へ 工房? ええ 今 そう 人形を 手慰みに 製作中でね つい口に出て いやすみません ああそうなんだ? いいなあ、見せてね 出来たらでいいからさ どんな人形なのかな 君によく似ていて と、言うよりも 君を真似てね 可愛い子に 概ね順調 しかし 素人 と しか 言えず さてさて 壊れるのも これで何度目か 毎度修理が大変で ふうん、難しいんだ それはもう、肩が凝る 肩凝りといえばねえ さっきは凝ってた でも、今は楽だ 何だろねえ? 急に治るの 最近そう うーん 血流 か 姿勢 何それ つまりね 肩凝りには それが大事と そういうことで 急に治る理由かと ああ、姿勢は確かに さっきは猫背だったし 今は、何かすっきり しゃきっとしてる ええ、その様で でもね、頭が ぼんやりで これだけ どうも 治ら ん おや ううん やれやれ 高屋敷君? 駄目ですねえ やっぱり故障で 今度は持つかと… 自信があったのにね けれど進歩は有る様で 自分で不良を訴えた メンテナンスが楽 前の時みたいに 歯車を撒いて バラバラに とまでは いかず うん さ 気を 直して また修理 少しずつで 歩みは遅いが 大分あの子にも 似てきてはいます もう一頑張りですね やれやれ、苦労します 元はといえば、君が 死んだりするから こうして私が… いや、まあね 私が勝手に やった事 だから 君に 恩 をね 着せる つもりは 勿論ないし でもこうして この私に苦労を 掛けさせてること それは感謝しないと もし直った時に、君が また死にたくないと そう思うんならね 私だってそりゃ 壊す為にね 直すのは 嫌です から ね |