「♪This is Halloween This is Halloween... 今年もハロウィンの季節がやって来ましたね、高屋敷君。可愛い君にお菓子を沢山あげましょうねえ」 「とりあえず殺す前にくれとだけ言っておくよ」 「あげてからなら殺しても良いのですか?」 「期待はしないけど、できるんならやめて」 「はあ、善処します」 「善処しますってのは日本人にとってやりませんって意味だよ。…日本はあんまりハロイン流行んないね?なんかゲームとかWEBサイトとかでは盛り上がってるけど、現実ではディズニーランドくらいしか本気出してなくない?」 「ゴスロリ趣味の友人でも作ったら、ハロインホームパーティーに呼んで貰えるんじゃないですか」 「だからぁ、そういうマイノリティじゃなくって、一般的って言うか普通って言うか…」 「ふうん?ハロウィンが普通の状態になって欲しいと?」 「え…ん、ちょっと違う気もするけど…やっぱ皆でやったほうが楽しいよね」 「そうですか、では、そうしてあげますよ。私は君に甘いですから。アイシング掛けのパンプキンタルトよりねぇ…」 「あれ?なんか嫌な予感がする!やっぱりやめて!」 「もう遅いですよ、悪魔に待ったは利きませんし聞きません ♪This is Halloween This is Halloween Halloween Halloween Halloween Halloween!! 人が皆化け物に成りますように! 暗い世界の穢れた者等が地を満たすように! 日は昇らず暮れず永劫の誰彼時が続くように! ここでは誰もが愉快、乱痴気、気触れ者。まともな頭は一人もいない。カボチャ頭のジャック達! 私の名に於いて命じる。ハロウィンを名乗るに相応しい、彼岸と此岸の狭間よ世界を包め! ♪This is Halloween This is Halloween Halloween Halloween Halloween Halloween!!」 僕は窓辺に駆け寄って 窓から広がる視界を見渡す 真上にあった太陽は 地平線のすぐ傍で血の様に紅い 楽しげに歩き回るのは 異形で奇妙な生者と亡者 僕の身体が宙に浮き 抱き上げられたかと思ったら 生えた羽がひとりでに羽ばたいていた 燃える赤い眼を細めた安西先生は 微笑みから牙を覗かせて 僕をビロードのマントで包む 「あ…あ…」 「♪これはハロウィン、これがハロウィン、このハロウィン さてさて一体いつまで続くでしょう?」 |