「高屋敷君は本当に可愛いですねえ、君こそが永遠の子供、銀のスプーンを銜えて生まれてきた高貴な王子様です。子供の君は無限の可能性を常に持ち、未来という名の王に愛され庇護され絶対の将来を決して手放すことなく永劫の高潔を保つのです。君のその有限に捕まらない無限の可能性は、子供であるがこその伸び白です。その可能性のお陰で、君は全てを見下すことが出来るし軽蔑しても許される、権利だけを持つ義務の無い王族です。だから君は潔癖さをいつまでも持ち続けることが出来て、また潔癖さゆえに子供の姿を保っていられる、停止と継続を同時に孕む背反の存在。それでいて矛盾で身を崩さないのは君が将来を約束されているという仮定の元に成り立つ、そう薄氷に佇むかの如く危うく美しい理由があるのです。ああ高屋敷君私のような既に墜ちた大人の腕に抱かれていても君の白い白い染まるべくいる肌は汚れませんね、染まる色は一体何色なのか、いつ染まるのか?それはきっと永遠にこないでしょう。けれどもいつかは鮮やかな色を身に付けるでしょう。そのいつかまでは君は子供で可能性を持ち続けます。しかし一度染まればどんなに美しい色であってももう二度と可能性を取り戻すことが出来ない哀れな大人、子供の無限の将来性は失われます。でもねえ高屋敷君、私は心配なんかしていませんよ?君は決してその高潔さを失いはしないでしょう、未来に愛された君ならばねえ。君の前にはいつか来るべき大人の壁がずっとずっと向こう側に見えているでしょう、しかしそこまでの道のりは長く長く、ともすれば永遠と勘違いする程に長い。君の背後の通ってきた道を見た人は永遠だと思うでしょう。だから、君は永遠に子供でいられるのです。君は美しい。時を止めなくとも、時が止まらずとも、止まらないからこそ君は美しいままなのです。君の前にある全てのことを、全ての頭打ちされた出来事を、全ての大人を軽蔑なさい、高屋敷君。君はそれが許される。誰もそれを非難出来ません。だって今はその軽蔑する存在よりも未熟かもしれませんけれど、君はいつかその軽蔑したもの達よりも素晴らしい存在になることができる筈だから。君が羨ましいですよ。成長は止まることなく、この世の何より強い力を、可能性という暴力的なまでに強い力を与えられて生まれてきた強国の王子様。全てを足元に平伏させなさい、その冷酷なまでの潔癖さは、中性的な、未分化じみた、月の女神にもにています。君は性差にすら囚われない、永遠の子供。君の担ぐ冠は何者をも恐れません。ああ、可愛い王子様、君を庇護する保護者の身分を、私はとても誇りに思っていますよ、高屋敷君?」














「あ、そう」
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