「安西先生!」
「おや、高屋敷君…どうかしました?」
「安西先生、誕生日おめでとう!」
「え?いや…」
「僕プレゼント持ってきたよ。ケーキも。作ったの」
「あの、ですが私の誕生日は」
「プレゼントは家帰ってから開けてね」
「はあ…」
「はい!はいケーキ!食べようよ」
「ああ、じゃあナイフを」
「用意してるよ。でもその前にこれふーってして」
「蝋燭ですね、では…」
「ハッピーバースデー安西先生。29歳おめでとう!」
「ですから、あの、私の誕生日は」
「食べて!切ったから!イチゴチョコガナッシュ!」
「頂きますが、しかし」
「ほらセンセの名前入りチョコプレート。これも手製なんだから」
「そうなんですか?ありがとう御座います」
「おいしい?」
「大変美味ですよ。甘酸っぱい苺の酸味がこってりと詰まったチョコの生地を爽やかにしてくれています」
「うれしい?」
「…そう、ですねえ。うれしいです。ただ」
「喜んでもらえてよかった!じゃあ僕帰るね」
「あ、高屋敷く…

……行ってしまいました
…高屋敷君…
私の誕生日は…十日以上も前の話なんですが…」


家へ帰ってからプレゼントの箱を開けると

可愛らしいウサギのぬいぐるみがメッセージカードを持たされていて

それには小さく


ごめんね。


と書いてありました

誕生日を忘れられていたのは寂しかったですが

お祝いも謝罪もくれたのでゆるしてあげましょう



右腕一本齧らせてもらってからね
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