■ 「安西先生ハロウィンだよー。お菓子ちょうだい、くれないとイタズラしちゃうんだぞ!」 「おやおや高屋敷君、イタズラされそうな格好で御苦労様。現場で着替えるのがコスプレの基本なんですがねえ」 「コスプレじゃないよう、本当のウサ耳魔女さんだよ♪」 「?」 「もう、忘れたの?昨日魔法コンパクトくれたじゃん。それで変身したですー」 「ああ、そういえばそうでした」 「忘れんぼなんだから。ねえどう?どう?ハロインっぽい?お菓子あげたくなる?トリックオアトリート?」 「ええとっても。怖くて可愛くてお菓子を渡さずにはいられませんよ。という訳で、どうぞ」 「やったぁー♪えへへいっぱいもらっちゃった。ハロインだから我慢とかしないよ、今日でみんな食べちゃうからね」 「お腹さえ壊さなければ、いくらでも」 「うん!…ねーセンセは仮装しないんですかー?去年も僕が言わなきゃしてなかったけどー」 「いやー仕事が思ったより忙しくてついねえ…大丈夫、用意自体はあるんです。直ぐに着替えますよ、ちょっとそのコンパクト貸して下さい」 「早くね!」 「はい、済みました。どうですか?」 「わあ……また…この寒い時期に半裸なんだ」 「どこを見ているんですか、半裸になっただけで仮装みたいな言い方止めて下さいよ」 「だって去年と大して変わってない…」 「良いんです、どうせハロウィンなど子供の君がメインなんですから」 「僕先生は狼男よりミイラ男がよかったな!全身包帯でぐるぐるーってなってるの!きっと暖かいしさ」 「嫌ですよ、あんな破廉恥の為にあるような衣裳」 「これ耳カチューシャ?」 「いえ、ちゃんと生やしてます」 「キモーい耳が四つあるー」 「人のこと言えないじゃないですか。文句ばかりですねえ、あまり我侭だと狼に食べられてしまいますよ?」 「ぎゃー!?」 「ふふ、嫌ですよね兎君?嫌なら良い子に 「で、出てけ!悪い狼はおうちに入れたらいけないの!出てけー!!」 ――――――――――――――― 「…なんですかなんですか、私の家で私のあげたお菓子なのに締め出しですか。良いですよもう。高屋敷君なんて嫌いですよ」 【聡美、そこで何をしている】 「え?氷室さん…どうしてここに?」 【通りすがりだ】 「それは偶然。私は色々あって高屋敷君に捨てられたところです」 【だからと言って道に座り込むんじゃない、はしたないだろう】 「ねえ氷室さん、可哀相な捨て犬だと思いませんか?拾って下さいな。良い子にしますから」 【まあ、構わないが。しかしお前の良い子の誓いは、子供の時分から信用ならん】 「そんなことありませんよ、甘いお菓子を下さるならね。悪戯は我慢しますとも」 【さて、どうだかな…偽の妖しならいざ知らず、本物の妖しが約束等守るかどうか】 「意地悪言わずに早くお家に連れて行って欲しいです。夕暮れは寒くて適いません…」 【分かった分かった。ほら、手を出せ聡美】 「それよりおぶって下さい、昔みたいに」 【そら見ろ、早速我侭だ。全くお前は信用ならんなぁ】 「と言いながらおぶって下さる氷室さんは、昔から優しいですねえ」 ――――――――――――――― 【…何だ、結局高屋敷君も来たのか】 「なんか来ちゃいました。毎年のことですけど」 「学長トリックオアトリートー!僕のもお菓子ちょうだーい!」 |