道端に高屋敷君が落ちていました 「もしもし、こんな季節にお外で寝ては風邪を引くか車に轢かれて死んでしまいますよ」 「う、うう…?あれ?ここはどこ?あなたはだれ?わたしはだれー!?」 「おやたんこぶ。そうですねえ、君は高屋敷智裕という男の子ですよ」 「高屋敷ってなに?」 「そして私は安西聡美です。ここは大学の前の車道で、君はあの大学の生徒です。私はその教授です」 「え?大学ってなに?」 「病院に行きましょうか」 ――――――――――――――― 「…可哀想にねえ、結局入院になってしまいましたねえ」 「ここはどこ?!ここはどこー!?わたしはだれー!!」 「まあまあ、そう焦ってはいけません。ほら兎さんりんごですよ」 「うさぎ?りんご?りんごがうさぎ?うさぎがりんご?ごりらは?」 「ああ本当に可哀想に、記憶と共に色んなものも失くしてしまったのですねえ」 「記憶?記憶をなくしたの?」 「君がね」 「そんなばかな!ちゃんとあるよ!わたしは前世大学ノートに引かれた一本の罫線でした」 「はいはいそうですねそうですね、だから兎さんりんごを食べて下さいね。薬埋めてあるんですから」 「大学…」 「おや?」 「大学…大学…さっきも言ってたね、あなたはそこのぷろふぇっさーなんだって言ってたね。それで、わたしも…わたしはなんだっけ?教授?」 「うーん、記憶が戻ってきているようないないような…こういう時に偽の記憶を刷り込むのが王道というものですが、何を刷り込んだら面白いでしょう?」 「教授…教授かも!教授だったかも!そういえばわたしは教授だった気がするー!!」 「考えている間に一人で盛り上がっていますが、訂正した方が良いですかねえ」 「そんで安西先生って呼ばれてた気がする!っていうかそうだった!絶対そうだった!!」 「あ、悩んでいる間に取り返しが付かなくなりましたね」 「ぬ?!そこにいるあなたはー!…えっと、なんだっけ、えっと…ちょっと待ってね、これも思い出せそうだから」 「さっきのも思い出せていないんですが、まあ良いです」 「高屋敷!高屋敷君だ!知ってた知ってたー♪」 「全然間違えてますけど、別に良いです。はい、僕は高屋敷君ですよ。安西先生、頭は痛くありませんか?」 「ちょっと痛いけど大丈夫!なぜならわたしは教授だからー!」 「そうですか、良かったですねえ、安西先生は可愛いですねぇ」 「えへへー!」 「それでは記憶も戻ったことですし、早速退院手続きをしてきましょう。さあいらっしゃい安西先生」 「うん!」 ――――――――――――――― 「…という訳で、僕が高屋敷君であれが安西先生ということになりましたから、生徒会長、宜しくお願いしますね」 『はあ…しかし、それは…』 「どうかしました?」 『俺は…俺はどちらを敬えば…?』 「んー、両方頑張って下さい☆」 「会長君、わたしアイス食べたいアイスアイスー!」 |