「公園でおにぎりを食べていると
安西先生が犬(という名の人)をリードの先に引きずりながら
にこやかに声を掛けてきました
「こんにちは高屋敷君、最近暖かくなりましたね。今日は外でお昼ですか」
「こんにちわ安西先生、お散歩中?」
「そんなところです。ところで、いやあ最近はエコロジーが大流行りですよねえ高屋敷君、限られた資源を大切に。って、ね」
「エコ?安西センセはエコイストの肩持つわけ?」
「おや?どうしました、優しい良い子の君が珍しい」
「資源だろーと資金だろーと必要なものまで削減するのは人類の英知とその発展を妨げる悪徳ですー!スーパーで買ったおにぎり温っためてくれたのに、袋はくれなかったから僕火傷したですー!」
「へえ、コンビニならいざ知らず、スーパーが温めてくれるのは珍しいですねえ。そのサービス分を袋に回してもらえれば君も火傷など…いえ、それなら冷たいおにぎりですから袋はいりませんか…まあ馬油塗ってあげますから手を出しなさい」
「スーパーの袋はゴミ袋にだってするのにさ!エコバックとか言っちゃって万引き増えてばっかみたい!」
「まあまあ、そんなに言っては経営者方々が気の毒です。不景気だからどこも厳しいのですから、資源より資金を大切にするエコに走る気も解りますよ」
「そりゃそうですけどー」
「はい、お仕舞い。暫らくは水に触って流れてしまわないよう気を付けて下さいね」
「はぁい。…でもなんで急にエコの話?」
「いえねえ、ペットボトルを買わずにお茶入り水筒を持ち歩くエコな方を見かけたのです。可愛らしいエコじゃありませんか?遠足みたいです」
「うー、それは悪くないかもね。ペットボトルが再生できるっていってもまだまだコスト掛かるんだし、ジュースよりお茶は体にいいし。…でも、水筒って重いんだよね…」
「最近の物は軽くなったそうですが」
「うーん…」
「それに、私の水筒は自分で歩いてくれるので煩わしさもありません」
「はえ?なにそれ、水筒搭載ロボット?……え?なに?それは犬という名の人じゃ…ちょっ……ぎゃーーーー!?!!」
「…少しぬるいですね…」
「あぎゃわわわ公園が緑溢れる公園が赤く惨劇の色に染まっ…も…なにしてくれてんのー?!」
「エコってるだけじゃありませんか」
「だって今のは犬…」
「水筒です。ついさっき水筒にしたんです」
「…ああ、そうですか…」
「ただですねぇ、可愛い水筒ですが一つだけ致命的な欠陥がありまして…一度飲み切ってしまうと、二度と補充が出来ないのです」