「…はー…もー年末だねー安西センセー」
「そうですねえ。年末ですけど、どうして君は実家に帰らず私の家に来てコタツに陣取っているのです?」
「だって父さんも母さんも新婚気分でハワイ行っちゃったし。ガラナちゃんは婆ちゃんに預けられて居ないし。あとこのコタツは僕がねだって買ってもらったんだから僕のだし」
「それはそれは…」
「♪みーかんーをーしーぼーれー…あ、僕暖房費とかその他諸々の節約の為安西先生のマンションで年越しとお正月過ごすからね。否定は無視!」
「やけに大荷物で来たと思えばそんな魂胆ですか」
「いいじゃない、センセだってわざわざ実家帰んないんでしょ?」
「まあ構いませんけれど、私もコタツにあたらせて下さいな」
「スポンサーだしね」
「足をもう少しよけてくれませんか、我が物顔に伸ばしますね君は」
「安西センセが伸ばしすぎなんじゃないの?それにこのコタツでっかいのになんか狭いよ、中にパジャマとか突っ込んでんの?」
「君じゃあるまいし、中で脱いだ靴下をそのままにするようなことはしませんよ」
「し、しないよそんなことー!」
「どうだか…ふう、やれやれ…年越し準備は出来ていますし、あとはだらだらコタツに潜っていましょうかねえ」
「ねーそのサキイカ僕にもちょうだい」
「どうぞ」
「ありがと…うひゃ!?」
「は」
「ちょっ、足で変なトコ触んないでくんない!セクハラー!!」
「触ってませんよ。それどころか当たってもいません」
「うそつき!」
「嘘じゃありません。ああもう五月蝿くしないで下さいな、私はお菓子でも食べてだらだらしたいのですよ」
「むー…」
「…ところで高屋敷君、君はファーストキスはまだ済ませていませんよね?」
「ハイレモン噛みながら言うな。言っとくけどイマドキ初ちゅーがレモン味とかおっさんしか言わないよ」
「それは残念ですね。まあ君もお一つ如何です?」
「ありがとー、僕もハイレモン好きー」
「この粉っぽさが堪りません…」
「センセはちゅうなんかいっぱいしてるんだよね?」
「そうですねえ、まあ、星の数ですよねえ」
「じゃあ初ちゅー何味だったの?」
「と言われましても、キスなんて0歳児の時に誰か彼か親類にされてるでしょう」
「えーだってそういうのじゃないじゃん!恋と愛が伴うのが初ちゅーだよぅ」
「……高屋敷君は、私の親類達が幼子に真っ当な愛情を持つ人種だと思いますか?」
「…思いません」
「解かってくれれば良いのですよ」
「いひゃっ!?」
「は?」
「ちょっと変なところを触るなって言ったでしょー!?もういい加減にしてよ!!」
「触ってませんたら。もしかして君遊んでます?私は付き合ってられませんよ」
「違っ…うわまた触ったしホントに…え?」
(「…ん、今何か言いました?まあそれは良いのですが、君もお茶を飲みますか?」)
「あれ…あれ、安西先生は扉の向こうの台所…え?じゃあこの中って……なんかいる?」
(「高屋敷くーん?聞いてますー?」)
「いやいやでもこんな熱いとこに生き物がいるはず無いし!センセペット飼ってないし!…覗いてみようかな」
(「全然聞いてませんねえ…まあ淹れてあげますか」)
「んしょ…熱う!……なんだやっぱりなにもいな………え?ええ!?ぎゃああああーーーーー!!?!



「おっと…ああ零すところでしたよ…おや?」
「…」
「高屋敷君たら、さっきから大きな声ではしゃいでいると思えば今度はコタツにかくれんぼですか?」
「…」
「しかし頭隠して尻隠さず状態ですよ。ほらお茶も入ったのですから出ていらっしゃいな」
「…」
「?…引きずり出しますよ?」
「…」
「やれやれ……よっ…と。ん?」
「…」
「高屋敷君、上半身は何処に隠したんです」
「…」
「……あ」
「…」
「…すみませんでした高屋敷君…先生、掃除の時邪魔になるからと、コタツの中に○○○を押し込めていたのを忘れていました」

 BACK