がらら


「来たよ安西センセ、こんにちわー」
「こんにちは高屋敷君、聞いて下さいな。先生また面白い君の殺し方を思い付いちゃいました」
「聞くだけでも嫌だけど実行されるのはもっと嫌。じゃ、僕帰るね」
「帰す訳がないじゃあありませんか。扉が開くとでも思います?」
「うわー開かない開かない!!二秒前まで開いたのに!!」
「よいっ…と!やれやれ、馬鹿でかくて扱いにくいですねえ」
「なんだその機械はー!!いやー死ぬー!!」
「ここのボタンを押すとこのレーダーに映る生物にのみ放射線をぶつけるのです。因みに二次被爆は起きないように作りました」
「大人しくノーベル賞とってろよ!ってやめろ向けるなぎゃー!?」
「…ん、成功ですね」
「ば…ここここの白人至上主義野朗!!黄色い猿には原爆落としていいって言うのかリメンバーパールハーバーか?!」
「支離滅裂ですよ高屋敷君。それに、これはどちらかと言うと原爆がモデルではなく原子力発電所のメルトダウンをモチーフにしています」
「そっちこそなに言ってるかわかんないし!」
「つまりですね、実際にあった原子力発電所の臨界事故からヒントを得て思い付いた君への嫌がらせです。不謹慎なので正確な事故名は避けますが」
「そこで人道的配慮をしないで僕に人道的配慮をしてくれればいいのに」
「今君の身体に何が起きたかというのを解り易く説明してあげましょう。この機械に拠る被爆で君の身体の細胞にある染色体がほぼ全て破壊されました。見掛けは何ともない様に見えますが、染色体…DNAが破壊されているので、もう二度と細胞が自己複製を起こすことが出来ません」
「…それって、どうなるの?」
「残念ながら、君はもう死ぬしかありません。それも割と緩慢な死でしょうね、染色体が壊れたとは言え細胞自体はまだ寿命が尽きていませんから、その一つ一つが死ぬまでに時間が掛かるでしょう。運が良ければ心臓か脳の細胞が他より早く寿命が尽きて、君も早く死ねるかもしれませんよ」
「……う、うわああああああ!!?あああ!!いやああああああ!!!
「良い反応ですね高屋敷君。やって良かったです」
「なんとかしろ!なんとかしろ!!死にたくない!!」
「んー、そうですねえ、只じゃ嫌ですけれどねえ〜」
「アンタのせいなんだよ?!」
「そうですね、さっき近所に出来たスーパーでラー油買ってきたのですけど眼球に垂らさせてもらって良いですか?」
「いい訳ないだろ脳腐ってんのか!」
「断られるのは解っていましたよ。それを押さえ付けて実行するのが私の楽しみなんですから」
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーー!!!
「どうですか高屋敷君、痛いですか?」
「熱い!!痛い!!眼が!!焼ける!!」
「あはは。一笑い出来ました。じゃあ助けてあげますね」
「う、うう…もういや…でも助けて…」
「簡単ですよ、細胞が死なないようにすれば良いのです」
「はあ?だって死ぬしかないんでしょ?」
「ええ、寿命がくればね。つまり寿命を来させなければ君は死なないという訳です」
「そ、そっか!やった助かった生きていけるー!!多分成長をよくわかんない薬か魔術かで止められて不老不死になっちゃうんだろうけどもう死なないならそれでいい!!」
「え?そんなこと出来ませんよ?」
「え?」
「不老不死だ何て人類の夢、今まで開発されてきて一度も成功していないじゃありませんか」
「え…え…じゃ、じゃあどうやって」
「冷凍睡眠です。細胞を凍結させて活動を止めるのですから、寿命は来ませんよ」
「…そう…だね」
「はい。さあこの機械の中に横になって下さいな?蓋を閉めますから指を挟まないように…」
(「……ねえ先生、でもこれって、起きたら僕死んじゃうから、もう二度と解凍されないんだよね?」)
「そうなりますね。ああ、瞬間冷凍のガスが出ますから少し寒いですけれど、死にはしませんから大丈夫ですよー」
(「ねえ、ねえ、それってさ、死ぬのと一体なにが違(プシュウウウゥゥゥーーーー……)」)


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