「♪一ーばーんー二ー枚 生なーら三ーまーい 口でーお掃除するなーら よーんまーいー…」
「この寒いのに、随分上までスリット入ったドレス着るんだね。パンツ見えるよ」
「履いてませんもの」
「あっそ」
「なんです高屋敷君、今にもこの売女と罵りそうに口を歪めて」
「この売女!!」
「あはは」
「また援交しに行くんでしょ?不潔!最低!」
「人類最古の商売を悪く言うものじゃありませんよ。心配せずとも、君を引き込む気はありませんしね…お留守番お願い出来ますか?」
「腰抱えられるのがそんなに好きかこの盛りのついたメス犬が!締まりの緩い股ですこと!」
「締まりの良さには定評がありますがねぇ」
「死ねー!」
「ふふ、良いのですよ高屋敷君。君がそうして清らかならば、先生とっても安心です…じゃあ、行ってきますね」
「帰ってくるな!いってらっしゃい!」


―――――――――――――――


「…ただ今帰りました、高屋敷君」
「帰ってくるな!おかえり!」
「はいおみやげ。プリンですよ」
「わーいプリンだー!」
「ふふ…良い子ですねぇ、高屋敷君…一人で寂しくありませんでした?」
「別に。…あむあむ」
「美味しいですか?」
「うん」
「それは良かった」
「なんでこんなに早いの?」
「ん?」
「いつもは帰ってこないじゃん。いつもは僕が就職指導室の鍵掛けて帰ってるもん」
「ああ…実はですねぇ、今日は誰も客を取らなかったのですよ」
「なんで?」
「正門を出たところで氷室さんに捕まりましてね。今月はもう援交禁止と言われました」
「そりゃそうだよ。お金に困ってる訳でもないのにここんとこ毎日だったもん」
「趣味なんですがねえ…。まあ、そんな事で、買い物したり君へのおみやげを選んだりして帰ってきたのですよ」
「お買い物?なに買ったの?」
「色々買いましたよ。お披露目しましょうか」
「うん」
「始めはプリン筆頭に君とのおやつを今週分と…後は大量のSMグッズを買い込んだのですが自慢を聞いてくれませんか?」
聞くか!!
「そう言わずに。説明しながら使い方を復習したいのですよ」
「バカじゃない?今更復習することなんてないでしょドSのくせに」
「いいえ、私は身近にある物を責め具にするのが得意なんですよ。だからマニアックな器具は余り使わないのです」
「うるさい!!」
「分かりました、では卑猥な器具を除くことにします。残りは純粋に痛覚的な責め具だから良いでしょう?」
「なにもよくないけど…(バシン!!)あぎゃ!!?」
「あ、手が滑りました。ローションでぬるぬるだったもので」
「うわーん!?ああーん!痛いし卑猥だしー!!」
「あっはは、やっぱり高屋敷君を苛めている方が楽しいですねえ」
「なにほのぼの見たいな展開にしようとしてるの?!僕全然楽しくない!プリン食べてたい!!」
「いくらでもどうぞ?躾には飴と鞭が入用ですからね」
「もうプリンも食べたくない!!死にたい!!」
「死にたいなどと軽々しく口にしてはいけませんよ、口にして良いのは私が拷問している時だけです」
「生きたいわボケー!!」
「ええ、生きたがりの子を殺すのは楽しいです」
「殺したい!!このサディストをこの世から消し去らないと世界平和は訪れない!」
「何と無く矛盾を孕んでいますけれど、まあ世の中そんなものなんでしょうねえ」
「うわーん!!」
「ああよしよし、泣かないで下さいな」
「触るな!基本的に安西先生は汚い!!」
「基本的に?…まあ、否定はしませんけれど」
「おやつをくれる時はいい人」
「高屋敷君、そんな思想で生きていったらこれから先、きっと何か良くない事が起きますよ」
「そうかな?」
「現に今起きてるじゃありませんか」
「ホントだ!!僕なんでこんな女装して一本鞭持ってる変態サディストと会話してるんだろう?!さっきなんて打たれたのに!」
「君の思想が間違えているからですよ」
「そうだね!僕帰る。でもプリンは貰ってくね!ばいばいもう二度とさようなら!!(ガララピシャン!)」
「はい、さようなら…っと」


…ガララバシャーン!!


違う!!
「お帰りなさい、高屋敷君。どうしました?」
「そんなことをしたら僕はお菓子が食べられなくなる!」
「自分で買うという発想は無いんですかねえ」
「つまり安西センセがマトモになればいいんですー。女装やめてー。鞭放してー」
「それは月を打ち落とすよりずっとずっと難しいことだと思いますよ?」
「大丈夫!僕はお菓子のためなら不可能も可能にする男だよ!」
「それは凄いですねえ」
「へへん」
「では高屋敷君が凄いので、大人しくいつものスーツに着替えるとしますか」
「着替えたらプリン食べようね!」
「君、二個目ですよね?私の分を食べる気ですか?」
「これは罰ですよう、変態的なことをしたらセンセの分は僕が食べるの」
「それは怖いですね。痛くも痒くもありませんけど」
「僕は嬉しいからいいや」
「高屋敷君たら、さっきそんな思想はいけないと…」
「早く着替えて!!僕がプリンを食べられないでしょ!?」
「はいはい、解りました」
「はーやーくーーぷーりーんーーー」
「急かさないで下さいな。…やれやれ、君は結局、いつまでも純粋なままで腹が立ちます」
「う?なんか言った?」
「いえ何も…食べてるじゃありませんか。待ってくれるのではなかったのですか」
「待ってられなかったぁ」
「…。その無邪気さがこうして汚れた私に殺意を起こさせるのですよ、高屋敷君」
「うぐっ!?」
「プリンは美味しいですか?」
「あがあぁぁ…!!げはっ!ガボアァ!?!
「ふふふ、君を苛めるのはやはりとても楽しいです。特に無邪気で調子に乗っている君を殺すのは取って置きにねえ……大丈夫ですよ高屋敷君、それは死ぬほどの毒ではありませんから」
「げホ…ゴホ…?」
「だから、この新調した沢山のSMグッズでじっくり苛め殺してあげますからね☆」
「うわああん鞭ばっかりで飴が無い人生が始まるよー!!」

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