追いかけてくる足音は

遊ぶように早められたり立ち止まったり

僕は何度も振り返る

その度に僕の目は眩む

安西先生の持つ大きな斧が

恐ろしく明るい月の光を

ぎらりぬめりと輝かせるから



コツン コツン コツン コツン、コツン、コツン…


「はっ、は、はあっ…!」


コツ コツ コツ コツ コツ コツ コツコツコツコツコッコッコッ…


「ひ!はひぃ、はっ、はっ、は、はぁ、はぁ、は、はっ…!!」

「…高屋敷君…」

「!?…いや、いやぁ…」

「早く逃げなさい、高屋敷君。それとももう諦めてしまいますか?」

「いやだ、助けて…はっ…はっ…!」

「…高屋敷君…高屋敷君…」

「いやああぁっ!!」

「良い事を教えてあげますよ…」

「はあっ、はあ…」

「ほら、向こうに明かりの点いたお店があります」

「ひ…ひ、はっ…はあぁっ…?」

「ふふ、君は小さいから、ここからは見えませんか」

「は、はあ、はあ…」

「あそこに行けば助かるかもしれませんね?」

「っ…は、はあ、はっ、…はあっ…!!」

「ほら、走りなさい…怖い人に追いつかれないように…」

「いや…は、助け、もう……はあっはぁ…はっ、はっ、は…!!」

「…高屋敷君…高屋敷君…」

「?…どこ…はぁ……どこ…?」

「高屋敷君…」

「お店…?はあ、はあ、…助け…?」

「高屋敷君」

「…はあ、はっ、はっ…!!どこ?どこ?どこ?どこ、どこ、どこ、どこ、どこどこどこ どこどこ?!」

「…嘘ですよ」

「!」

「可哀想に、騙されて…こんな迷路の様な路地裏に這入り込んでしまってねえ?」

「いや、いやぁっ!!助けてたすけてたすけてぇぇっっ!!!」

「泣かないで下さいな高屋敷君…」

「はぁ、はあ、はっ…は、はあ…!!…どうして、どうしてぇ…」

「怖くありませんよ…さあ静かになさい?じっとしていれば直ぐに終わります」

「いやだ…いやだ、いやだ、いやあああぁぁーー…ー!……!!」



「…まだ逃げるのですね、高屋敷君…

ああ、可哀想に、そっちは暗くて誰も通らない怖い道なのに
君は何も知らないから…
でも大丈夫ですよ高屋敷君?




君が何処に行こうが、私は必ず見付けてあげますからねえ…」

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