「高屋敷君、何をしてるのです?」
「んー?」
「指遊びですか?」
「んー!カエル出来ないよー!!」
「カエル?ああ、ありましたね指のカエル…二パターンくらいあるらしいですが」
「ずーっと考えてるけど全然出来ないんだよ。友達に聞いても知ってる人いないしさ」
「うーん、私も知りませんねえ」
「むう、こんがらがってよくわかんないや…やーめた!」
「おや諦めてしまうのですか?」
「いいの、僕だって指遊びするほど暇じゃないの!出さなきゃいけない課題もあるし。…なに?…ちょっとー、人の手勝手に持ってかないでよー」
「はは、高屋敷君の指は短くて可愛いですね?」
「失敬だな!」
「ああそうです、カエルは知りませんが指を使ったおまじないならして知っていますよ」
「おまじない?なになに?」
「こうするのです、人差し指の上に中指を重ねて…」
「こう?」
「そう、指十字です、さあお願いなさい?きっと叶いますよ」
「本当?えっと、じゃあ……もう安西先生に殺されませんように!」
「何ですそれ…神様にお願いするより、私に言った方が早いじゃないですか」
「いっつも聞いてくれないじやないですかぁー」
「おや、そうでしたっけ?」
「お願いしたんだから、センセに教えてもらったおまじないでお願いしたんだから、叶うんでしょ?」
「指十字で?」
「そうだよ、それだよ。…先生の指長くて綺麗だね…指十字も綺麗だね」
「それはそれは、褒めてくれてありがとう御座います」
「ねえ、僕をもう殺さないんでしょ?」
「はい、殺しません。もう二度と」
「ホントだからね?殺したら、安西先生は効かないおまじない教えたことになっちゃうんだから!」
「解っていますったら…本当に殺しませんよ」
「約束だよ!」
「ええ、約束します。何なら誓いのキスをしてあげましょうか」
「いらん。…先生の指いいなあ…」
「うん?」
「だってすらっとしてるよ、すごく綺麗。指十字、綺麗だね。センセの指十字なら、僕の百倍お願い叶っちゃうんだろうな」
「そんなに気に入ったならもっと近くで見せてあげますよ。どうです、喜んでくれましたか?」
「えへへ、嬉しいよー。嬉しいけどーほっぺ触ってちゃ見えないですよぅ」
「ぷにぷにですねぇ、お餅さん?ほっぺたが嫌ならここはどうです?」
「いやーくすぐったいー!首はやぁーです、くすぐったいよう!」
「細い首ですね、可愛らしいものです…ああ、こんなにも他愛無い」
「あ、うっ?!やっ…苦しいよ、センセ、冗談、やっ…!」
「苦しい?苦しいですか?ならもっと絞めてあげましょうねぇ…」
「くうぅっ!?あくっ、ひっ…!!」
「はは、もう死んでしまうのですか高屋敷君?本当に可愛い子ですね」
「ぐ、く、あ、っ、ど…して、殺…さ、なて、言た……?!」
「可愛い可愛い、何も知らない高屋敷君?指十字には二つの意味があるって知ってましたか?」
「…っ!…っ……?」
「指十字が持つもう一つの意味…それはですね、高屋敷君…


嘘を吐く時の印ですよ」


「…!?!」
「さあ、素直で可愛い高屋敷君、そろそろ神様の御下に行く時間ですよ…っと!」
「!……ヒュッ……ヒュゥ…………(…ゴキッ)」
「…高屋敷君?」
「………」
「ふふっ…ああ、面白かった。指遊びって楽しいですねえ、高屋敷君☆」

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