「高屋敷君見て下さい、先生次のペットに熊を採用しましたよ熊熊」
あががががが食われてる食われてる腕があげへええええーーーー!!!
「それに何か問題が?」
「ふざけんな死ぬだろ僕がぎゃああマジで助けろ鎖骨が噛み砕かれてるおごごごご!!!
「何言ってるんですか、君を餌として採用してあげているのですよ?さあ喜んでヒエラルキーの最上級者たる私に平伏しなさい塊肉」
「出来るかバカもう四肢が無いわ!!それでなんで生きてるんだ僕はー!!」
「あー相変わらず妙に打たれ強いですねぇ。まあ良いです、折角手足が無くなったので君もペットにしましょう。餌はクローンでも作れば良いですし」
人か!?アンタはそれでも人なのか!!雷帝かキサマはー!!」
「あっはっは、血に植えた独裁者イワンの再来と呼んで下さい。但し私は私以外のモノの名を冠されるのが大嫌いですので呼んだ瞬間君は弾け飛ぶことになりますよ」
「うるさいうるさい止血しろ!」
「おやおや良いのですか?止血をすれば君は生き延び人豚となって私に飼い殺される運命になるのですよ?ところで豚はトイレの下に置いて人糞尿を食べさせて育て人がまたその豚を食べる環境に優しいエコロジーだか何だかいう偽善的なサイクルに活用されていた時代もあるんですよ。君はとても良い子ですから地球が滅ぶのはとても悲しいことだと以前に言っていましたっけね、今もその気持ちは変わりませんか?」
「こ、この鬼畜…!!」
「嫌ですねぇ、鬼が私で家畜が君ですよ。まあそれが嫌なら可愛い声でクンクン鳴いて鼻を私の脛に擦り付けなさい?ただただ消費のみを行う愛玩用の品種改良により今では殆ど奇形と化した小型犬の仲間にでも入れてあげますよ」
「さっきからなんか妙に饒舌だね、僕全然喋ってない…あーもういいや僕プライドとかあんまりないし。お手とかは出来ないけど舐めるくらいならしてあげる」
「どこを?」
「手とかに決まってんだろどこ舐めさせる気だったんだよ変態やろー!!」
「今更言われても何の感情の変化を引き起こさない罵倒の言葉をありがとう御座います…いや、寧ろ讃辞にすら聞こえるというものですね」
「やっぱやだ放せ下ろせ抱えるな!僕帰る!おうち帰るー!!」
「君のおうちならすぐに用意してあげましょう、屋根は赤と青のどちらが良いでしょうね?水入れはプラスチックとステンレスどちらが良いでしょうか?首輪は革とピンクのリボンに可愛いレース付きのもののどちらが良いですか?」
「どれもイヤ!もういやあー!!なんでこんな変態が大学教師なんかやってるんだろ?!世の中間違えてるよ不正採用ー!!」
「いやー高屋敷君は本当に可愛いですねえ。そうですね、実家にある家畜王国の王子様にしてあげましょう。沢山の愛らしい動物や異形の生物達に傅かれて綺麗な王冠を軽いおつむに掲げれば良い。いや、それともティアラにしてお姫様にしましょうか?」
「前から思ってたけど、いい死に方しないよ先生…」
「君よりはマシな死に方をすると思いますよ?」
「そりゃ僕より酷い死に方何度も繰り返してる人はそうそういないと思うけどね。でもそれ全部安西センセのせいなんだけど、それ解ってる?」
「全然解りません」
アホー!!
「君はさっきから騒がしいですねぇ、あまり叫んで喉が潰れて可愛いお歌を歌えなくなったらゴミ捨て場に放置しますからね」
「あのねえ…言っておくけどペットを捨てるのって犯罪なんだよ」
「…じゃあ殺して埋めましょうか」
「あああもうどうすればこの天然鬼畜野郎を黙らせられるんだろう!道徳と法とはなんて無力なんだろう!」
「馬鹿なことを軽いおつむでのたまいでないですよ、高屋敷君。道徳と法とが無ければ、どうして悪逆非道の行為が楽しかろう?悪い事を大いにやってごらん、罪を犯せば楽しいよ…とは、誰が言ったのでしたっけね」
「…つまり、先生の残虐行為を止めさせるには愛を説いても無駄ってこと?」
「洗脳でもすれば、あるいは可能かもしれませんけれどね。まあ洗脳には拘束が不可欠ですので私相手には望めませんでしょうが」
「ならどうすればいいの?」
「そうですねえ、では、痛みでも与えてみれば良いのでは?簡単ですよ、犬猫と同じです。悪い事をしたら罰を…痛みという原始の恐怖を嫌悪を与えて躾をするのです。どうですか、解り易いでしょう?」
「本人に聞くのは間違いだったみたい…センセは痛覚なんて無いじゃない」
「正確に言えば、選択的に痛覚を選び取ることが出来ますよ。痛い思いをしたければ痛い、痛い思いをしたくなければ痛くない」
「あー都合の良い人生ですこと!やだやだこういう人間がいると生きる気なくすよね全くー!」
「ふふ、まあまあ負け組みは負け組らしく勝ち組に尻尾を振れば良いでしょう。お零れくらいは投げてあげますよ」
ぐがああああ!!その上から目線が庶民の逆鱗を熊手でガリガリ逆撫でする!各成る上は四肢の千切れたこの身でも貴様ののど笛を食い千切ってくれる!!
「あー可愛い。子犬が何を吼えようとキャンキャン甘噛みしてくるだけであー可愛い。…大体、この私に手傷を負わせようとはヒグマレベルの猛獣でも…ん?熊?」
「あ…そういやクマどこ行ったの?いつの間にか居ないけど…」
「……高屋敷君、ちょっと…」
「え?あ、うん。降ろしてくれて嬉しいけど…どこ行くの?……窓?開けてどうすんの?」



ガララ…



『う、うわあああああ!!?どうしてこんな所にクマ゛ッ(ゴキンゴリゴリゴボキッ!!)『いやあ助け(ゴゴガゴキッッ!ガリガリゴキン!!)『ぎゃあああ!頼むこっちに来るながぁ(べゴキン!ゴガッ!ゴッ!ゴリゴリゴリ…)



…ピシャン



「………」
「………」
「…今日の晩御飯何にしましょうかねえ〜」
「無かったことにするなコラー!!!」

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