「会長君助けて下さい、高屋敷君がヤンデレ化しました」
「どこ行くの安西先生どうして僕のことおいてくのどうしてずっと僕と一緒にいてくれないの殺す殺す殺す!!」
『なにかなさったのですか、安西先生』
「いえ、ちょっと魔法の粉を振りかけてヘッドホンと視界全域を覆うディスプレイを三日間不眠不休で見せさせただけなんですけれどね」
「どうして僕以外の人と話してるのかな?話しちゃいけないって僕言ったよね?お願いしたよね言ったよね?なのにどうして安西先生は僕以外の人と話してるのかなあ?どうして僕のいうことが聞けないんだろうセンセったらどうしちゃったのかなあ?!」
『恐らくですが、それが主な原因になったのではないかと』
「私もそう思いますが、まあそんなことはどうでも良いのです。何とかしないと気持ち悪いです」
「僕のなのに僕のなのに安西先生は僕のものなのにどうしてどうしてどうしてどうして安西先生どいてそいつ殺せない」
『ところで安西先生、その鎖の付いた首輪はどうなさったのですか?』
「いやー昼寝している隙に着けられちゃいましてねえ〜。外れないのですよこれがまた、ネット通販って便利ですけれど恐ろしいものだと実感しました」
「外したら殺すよ」
『高屋敷君、目にハイライトが入ってないよ』
「うるさい黙れ。僕は安西先生の声しか聞かないことにしてるの煩い羽虫共は黙って死んでろ」
「ああすみませんね会長君。元に戻ったらたっぷり躾けておきますから許してあげて下さいな」
『俺のことならば気になさらないで下さい』
「おかしいなどうして安西先生は余計なことを喋るんだろう照れてるだけだよね僕の名前だけ繰り返し繰り返し呼んでればいいのに余計なことばかり余計な奴ばかり余計な余計な余計な…!」
「ああまた暴れだしました…会長君、ちょっと何か縛るものを貸して貰えませんか?」
『生憎3m程の鎖しかありませんが、これで宜しいですか?』
「んー…いや、もう少し丈夫なものはありませんかねえ。どうも気違いの馬鹿力になってしまいまして、すぐ千切れてしまうのです」
『そうなると釣り糸しか紐状の物はありません。生徒会室に行けば何か適当な物があるかと』
「釣り糸?何だ良い物があるじゃあありませんか。それは透明なテグス状の奴ですよね?」
『はい、安西先生。お気に召して頂けるならどうぞお使い下さい』
「安西先生安西先生忘れないで僕と先生は前世から赤い糸で結ばれてるってアカシックレコードにも書いてあるよだから逃がさないよ逃げられないよずっとずっと死ぬまで死んでも次も次も次も次も僕と先生は一緒だよ」
「はいはいそうですねそうですね高屋敷君、そうですからちょっと縛られて下さいねー」
「安西先生が言うならなんでも言うこと聞いてあげるよなんでもして欲しいことしてあげるよその代わり僕のして欲しいことも聞いてくれなきゃイヤだよねえ先生」
『…?』
「ふふふ、見ていなさい会長君。これからホラ面白くなりますよ、だからテグスでぐるぐる巻きの高屋敷君を眺めつつちょっとだけ協力して下さいね」
『はい、安西先生。俺でお役に立てるなら』
「高屋敷君高屋敷君、こっちを御覧なさい?」
「なあに安西先生僕はいつも安西先生のことを見てるよいつで…も……?」
『(…安西先生、何をなさるのですか?)』
「(しー、黙ってなさいな。ほらもっとくっ付いて下さい、腰に手を回すとか)」
「…あ…あ、あ、あ、安西先生どうしてどうしてどうしてそんな汚い豚と抱き合ったりするの僕のなのに僕のなのに殺す許さない誰誰僕のなのにそれは誰僕じゃない僕じゃない安西先生先生せんせいセンセイうがあああああああああああ!!!
「あっはは!ホラホラ会長君面白いでしょう?暴れるからほら高屋敷君の身体に釣り糸が食い込んで、ほら、ほら、血が出てきましたよ。まるで元から赤い糸で縛っていたみたいでしょう?あはは、面白いですね!ねえ会長君?」
『はい、安西先生』
「…何ですか会長君、その無表情な顔は…折角面白い高屋敷君を見せてあげたというのに」
『申し訳ありません、安西先生。余り表情にバリエーションがないもので、今考えていることに合う表情が手持ちにないのです』
「ああああ殺す殺すクズが殺してやる僕の僕の安西先生に触ったその手を切り落としてやる安西先生戻っておいでよ僕は全然怒ったりしてないんだからだから安心して帰っておいでよでももうおんなじ間違いしないように足を切り落としてあげるねきっとその方がセンセイも迷子にならなくて怖くないでしょうさあおいで安西先生さあおいで安西先生さあおいで安西先生来ないなら先生も殺してやる!!」
「そうですねえ、そんな時は大げさに肩を竦めて大きく鼻から溜息を吐いて『やれやれ、君達はお似合いだよマイケルとキャシー?』とでも言えば良いと思いますよ」
『成る程、覚えておきます』
「まあ私はヤンデレより健気受けの方が好きですけどね。攻撃されるのは趣味じゃありません…と言うか私のキャラと被るんで迷惑です」
「安西先生?安西先生?今なんて言ったの?迷惑?僕が?どうしていつもそうやって恥ずかしがっちゃうの?僕いつも悲しいんだよ?悪いお口は塞がなくちゃ」
「で、話は戻るんですが助けて下さい。高屋敷君がヤンデレ化してしまったのです」
『勿論ご命令通りに致します、安西先生』
「ああ、相変わらず君は頼もしいですねえ。…?…何ですそのナイフは?今テグスを切ったら高屋敷君がまた暴れだし…



『安西先生の邪魔になる者はこの俺が全て排除します』



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「学長助けて下さい、高屋敷君がヤンデレ化した後会長君がヤンデレ化してしまいました。よく考えてみれば元からそんな感じだったのを失念していました何とかして下さい」
『何処までも付き従います安西先生。貴方の為にこの身を尽くしてお守りします』
【また碌な遊びをしなかったのだろう。本当に困った子だ、お前は昔から悪い虫ばかり寄せ付けて…】
「ちょっと遊んだだけだったのですよ?まさか会長君までヤンデれるなんて思いませんでした。やはり分身させ過ぎて色々機能低下しているみたいですねえ、これは何とかしないといけませんよ…氷室さん?何してるんですか?…あ」
【会長君、君はこの大学によく尽くしてくれたが…聡美に纏わり吐く悪い虫は殺さなくてはならなくてなあ?】
「…まさか氷室さんまでヤンデレ化とは…ドッキリカメラでしょうか?」
【何処に行く聡美?全く本当に困った子だ、仕置きしなければいけないな】
「ああ困りました。誰に助けて貰いましょう」



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「相模先生助けて下さい、高屋敷君がヤンデレ化した後会長君がヤンデレ化して氷室さんまでヤンデレ化してしまいました。その場のノリって恐ろしいですね、ツンツンの相模先生なら大丈夫そうなので何とかして下さい」
【次から次へと舞い止まる…標本箱に飾るしか無さそうだなあ?】
『何で俺なんだよ。手前の始末は手前でつけろや』
「ああ、何だかとても安心しました。相模先生はこんな時に頼りになりますね」
『手前でつけろっつってんだろうか耳取れてんのかお前は!?』
「でも何とかしないと氷室さんに殺されるのは貴方ですよ☆」
『クソが…!』
「あれ?何処に行くんですか相模先生?ストーカーに付き纏われて可哀想な私を置いて逃げるんなら

殺しますよ」
『人に物頼むときはそれなりの態度があるだろダボがぁ!!いいから黙ってそこで待ってやがれ!!』



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『…という訳で私が呼ばれたのね。よく解ったわ』
「成る程、学内診療所の沢津橋先生なら何でも治療できますものね。ちゃんとオチがつきそうで安心しました」
『礼を言えよ。お前全体的に人に対する態度が最悪だぞ』
「ああ、ご苦労でしたね。褒めてあげますよ」
『このヤロォ…!』
『それじゃあ三人纏めて治療箱に突っ込んで置くわ。それでいいかしら?』
『コイツも突っ込んどいてくれよ。性格の悪さが治ったら儲けもんだ』

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