「…先生ぇ足痛い…」
「ん?おんぶしますか?」
「うん」
「よしよし、下駄を落とさないようにね…次はどこに行きましょうか」
「ヨーヨー欲しいなー、あとねー、スーパーボール掬いー…あやっぱダメ!行かない行かない!!」
「おやおや、帰りたくなっちゃいましたか?」
「ちがうの花火ー!場所取り行かなきゃいい場所取れないもん、早く早くー!」
「もうそんな時間でしたっけね」
「あっちあっち、あっちなのー!」
「あっち?どこです?」
「んー!ちょっと下ろしてー」
「良いですけれど…」
「んっしょ…こっちこっち!」
「いけませんったら高屋敷君、また迷子になりますよ?ほら手を繋ぎましょう」
「えー?恥ずかしいからヤダ!僕もう大学生だもん」
「やれやれ」
「その代わり裾掴んでるからねー」
「そっちの方が恥ずかしい気もしますが…兎に角、混んでいるから気をつけて下さいね」
「はーい」
「もう少し早く場所取りに来た方が良かったですねえ」
「そーだねー、僕一番前がいいなー。今年はね、海の上で上げるんだよ、僕スターマイン大好きー」
「どこが良いですかねぇ…」
「いっち番前じゃないとダメー」
「解っていますよ、ここなんかどうです?一番前ですし、邪魔になりそうな物もありませんし、綺麗に見えそうですよ」
「ホントだ!穴場穴場ー」
「危ないですよ高屋敷君」
「落ちる落ちる海に落ちる!」
「柵に寄り掛かったら、それはそうでしょうとも。こっちにいらっしゃい」
「ねーねーかたぐるまー」
「もうですか?まだ花火までだいぶありますけれど」
「ダメー今するの!」
「構いませんが、始まるまで焼きそばでも食べようかと…あ…高屋敷君、人の頭の上で食べないで下さいな」
「紅ショウガいらなーい。センセあーん」
「…まあ良いです、面倒ですし。あーん」
「花火九時からだって。あとどれくらいしたら始まる?」
「十分くらいでしょうか」
「まだかなー」
「もう少しですよ」
「お祭り楽しかったね安西センセ!僕帰りたくないなー」
「そうですねえ、私も帰りたくないですねえ」
「でも花火終わったら夜店も店仕舞いだって」
「そうなんですか?それは残念ですねぇ…」
「ね」
「…ああそうです、時間を止めてしまえば良いのですね」
「ふえ?なに言ってるの?」
「まだ祭りの終わる前に。今の内です、君の時間を止めてしまいましょう」
「なに?なんのこと?え、ちょっとまってなんでお辞儀するのダメダメ僕落ちちゃうよ海にいや、や、いやあああああーーーー!?!(バシャーーーン!!)」










「…浴衣の袂に石を入れるのは、基本ですよね」

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