ガララバシャーン!!


「…扉が壊れるから乱暴に開け閉めするんじゃありませんと、私は何度も言っていますよ高屋敷君…」
「こんにちわ!テスト終わった!補講も終わった!だから夏を満喫したい!!」
「ああそうですか…やれやれ、騒がしい馬鹿が入って来たせいで体感温度が上がりました」
「お祭り行こう安西センセ!ちょうど今日からやってるお祭りあるの、ねえ連れてってー!!」
「嫌ですよ面倒臭い。大体君も大学生なんですから女子の一人や二人連れて行くくらいの懐を出すねぇ」
「僕はおごってくれる人と行きたいのー!!」
「ああ、馬鹿な女子は君の方でしたか」
「いいじゃん行こうよー遊ぼうよー」
「クーラーの無い所に行きたくないんですよ」
「涼しくなってからでいいからさ〜」
「涼しくねえ…」
「カキ氷も売ってるよ?」
「カキ氷?ヤクザのきったない手で作ってる?」
「や、やめてよそういうこと言うの…大丈夫だよ最近は一般の人のが多いよー」
「…そういえば、氷室さんに買って貰った浴衣がありましたっけね」
「なんだ行く理由あるじゃない!行こ行こ!?」
「んー…」
「…行こうよ〜…」
「…仕方が無い、行きますか」
「ホント!?!やったぁお祭りだー!!」
「但し涼しくなってから。それと、絶対にはぐれないこと。探すのは私なんですからね」
「わーいたこ焼き食べなきゃ!あ、僕ちょっと実家帰って浴衣着せてもらってくるね。それじゃ六時に駅集合ね!またあとでねセンセー!(ガララピシャン!!)」
「…本当に騒がしい子ですねぇ…」


―――――――――――――――


「安西センセごめーん!!待ったぁー!?」
「待ちましたよ…行く気の薄い人間を待たせるとは随分大物ですねぇ高屋敷君?」
「ごめんってばぁ」
「逆ナンが死ぬ程ウザかったです。大和撫子はいつからいなくなったのですか。大体何ですかあのミニ浴衣とか言うはしたない代物は?反吐が出ますね全く」
「か、顔怖っ…機嫌直してようセンセ、もー遅刻しないからー」
「ふん。行きますよ」


「…先生まだ機嫌悪いの?はいたこ焼き、あーんして?」
「自分の金で買ったものを差し出されても嬉しくありません、このただ飯食らい」
「う゛ー、困っちゃったなあ…」
「…」
「…そういえばさっきから思ってたんだけど、センセの浴衣キレーだね!大人っぽいの似合っていいなぁー」
「そうですか?」
「(あ、笑った)」
「まあ、君はその可愛らしい金魚帯が似合っていると思いますよ」
「え…う、うん…不名誉ー…」
「ああ、金魚といえば金魚掬いに行っていませんでしたね。たこ焼きも食べ終わったようですし…ほらすぐそこです、行きましょうか?」
「うんいくいくー。出目金取ってくれる?」
「タモが最中じゃなければ…」
「あー赤出目金だー!取って取ってセンセ!」
「ええ…あ、すみませんがタモ二人分下さいな」
「タモ破けた!!」
「まだ水に入れてもいないのに…」
「えーん!やっぱセンセが取ってよー!赤出目金ー!!僕のー!!」
「分かりました分かりました、分かりましたから揺らさないで下さいったら。君のお目当ての赤出目金が逃げてしまうでしょう」
「掬える?」
「君が揺らさなければねえ……ん…ほら、掬えましたよ」
「やったぁ!センセすごーい!ありがと僕嬉しいっ」
「まだ破けていませんし、折角ですからこの子もね」
「黒出目金?」
「君とおそろいです」
「かわいー。ところで喉渇いた」
「もう金魚に飽きちゃったんですね」
「ラムネラムネー!」
「はいはい、買えば良いのでしょう?全く、折角取ってあげたというのに…」
「イチゴ味ー」
「私も買いますかね…最近はビール以外もありますし」
「お酒飲むの?」
「折角ですので派手にね、最期ですし」
「…え?黒出目金どうするの?え?なんでカクテルに入れるの…ああああああーーーー!!?!
「生臭いです。これだから踊り食いは嫌いです」
「な、ならやるなよ!恐ろしいよ!」
「高屋敷君、その赤出目金も寄越しなさい」
「いやだよ渡さないよ!踊り食われるよー!!」
「いいえ、そこの螺焼きの屋台で焼き金魚にしてもらいます」
「よりいやだよ!」
「焼き過ぎて内臓から出る水蒸気で腹が爆発する様を一緒に見ようではありませんか。勿論飛び散った内臓は君が這い蹲って舐めるんですよ」
「いやあああ放して!放してええぇぇぇーー!!」
「あっはは!先生調子出てきちゃいました。さあ次に行きましょう、もうロケットランチャーの準備なら万端ですよ」
「射的?!射的なの!?やめてお願い楽しいお祭りが阿鼻叫喚の地獄絵図に…」
「祭りというのは派手でないといけません。店ごと吹き飛ばして見せましょう」
「っていうかこんな混雑してる所で吹っ飛ばしたら店意外にも色々吹っ飛ぶよ!センセだけはなぜか無事なんだろうけどね!」
「え?何ですって高屋敷君?僕を撃って下さい?」
言ってない!!構えないで構えないでムリムリ吹き飛(ドゴオォーーーン!!!)」

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