「♪さーさーのー葉ーさーらさらー…」
「タナバタ楽しー!」
「五色の短冊、私が書いた…ってね。さあ高屋敷君、お願い事は書けましたか?」
「書いたよ。ほら、ほらねー」
「どれどれ…」
「叶うかなあ?」
「…うーん…叶うと良いですけれど…」
「だから一番天辺に吊すの!」
「そうですねえ」
「あー!届かないー!!」
「よしよし、大丈夫ですよ。はい抱っこ」
「うー」
「ここですか?」
「もっとこっち、もっと、もっと上ー」
「ここ?」
「うん!」
「しっかり結ばないと、取れてしまいますからね」
「へーき。五回結びだもん」
「それはそれは…もう下ろしますよ?」
「うん」
「よ…っと」
「お願い叶うと思う?」
「叶うと良いですね。私は、叶われたら困りますけど」
「お菓子貰いに行かなきゃ!」
「ん?」
「♪ローソク出ーせー出ーせーよー!」
「ああ…君、その地方出身ですか」
「う?」
「七夕に家々を回って菓子を集めるとは、北海道の特定地方だけの風習です」
「そーなの?」
「ええ」
「この辺はやってないの?」
「そうですね。違うようです」
「じゃあ、回れないんだね…」
「ああ、よしよし、べそをかいてはいけませんよ」
「…うー…」
「君が泣いては空も泣くというものです。さ、一緒に西瓜を食べましょう」
「スイカ!?食べる!!」
「それは良かった」
「どこどこ?スイカ?」
「井戸で冷やしてありますよ。今切ってきますから、縁台に座っていて下さいね」
「うん!

……

………

…天の川キレー…

こんなにキレイだもん、お願い叶うよね

…あと5センチ、おっきくなれますよーに!」


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