大学内の駐車場を歩いていると

車の前でゴソゴソしてる安西先生がいました

なにやってるのかな?


「センセ、なにしてるのー」
「おや高屋敷君。丁度良かった、一緒に銀行強盗行きませんか?」
「え?なに?コンビニ行きませんか?」
「いや、銀行強盗」
「やだよ!軽過ぎるよノリが!」
「重々しく言えば良かったのですか」
「そうじゃないよ。もっと道徳観念勉強しなよ」
「ありますよ?何が善かを知っていなければ、悪を犯す楽しみがなくなるではありませんか」
「この愉快犯!!」
「まあまあ良いから一緒に行きましょう。ナンバープレートもガムテープで隠しましたし、ショットガンもあります。昔ながらのストッキングで顔を隠しましょうね☆」
「ゲーム感覚で犯罪を楽しむなー!!やるんなら一人でやりなよ!僕犯罪者になりたくないもん!」
「いやですね高屋敷君たら、複数人での銀行強盗は男のロマンです。見事億単位奪った暁には配分で揉めて殺し合いましょうね」
「いやだよ。つーか勝手に世の男性達の名誉を貶めるのやめなよ」
「じゃあセーラー服とか」
「なにがじゃあだ!」
「高屋敷君は怒りっぽいですねぇ。その調子で怯えて現金を詰める手が震えて札束を取り落とす女子銀行員の脳天をブチ抜いてリノリウムの床を赤く染めて下さいね」
「その台詞だけで十分警察屋さんが飛んでくるよ!?」
「望むところです、天下の公道を逆走しながらパトカーとカーチェイス、窓から身を乗り出して拳銃の打ち合いを楽しみましょう。もちろん一般市民も巻き込んで☆」
「もうやめて爽やかな笑顔で瞳を輝かせないで!お願いだからやめてー!!
「どうしてですか高屋敷君。先生、君と一緒に遊びたいです」
「無垢な瞳してもダメ!銀行強盗を遊びと認識してる時点で無垢じゃないしね!?」
「…ちっ…今時の若者は上司の誘いも断るのですね…」
「パワハラやめて。この場合アカハラだけど」
「仕方がありません、別なことをして遊びましょう」
「そーそー健全な遊びが一番だよぅ」
「健全?健全な犯罪などあるのですか?」
「ある訳ねえだろいい加減にしろ!!」
「ですが、今日の私は犯罪を犯したい気分なのですよ。法のスリルを肌で感じたいですねえ」
「ああ、止めても無駄なんだね…なにしたいの?一応聞いといてあげる……情報あった方が警察にタレこみやすいし…」
「犯罪の花形といえば、銀行強盗の他にもう一つあるのです」
「あーはいはいなにー?」
「それは…身の代金目的の、誘拐」
「……え?」



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ピルルル…ピルルル……ガチャ

「もしもし、高屋敷さんのお家ですか?…はい、安西です。お久しぶりですねお母様。ええ、高屋敷君なら元気です…ぐるぐる巻きですけれど……はい、ええ…ええ、その事なのですが、息子さんを返して欲しければ2000万用意して下さい。………はあ……ああ、そうですか。成る程解かりました。ええ、ではお父様に宜しくお伝え下さい、失礼致します」

「…なんて?」
「大学生なんだから、自分でバイトして何とかしなさい♪…と」
うわあん皆だいっきらいー!!

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