(ガチャガチャバタン!!)
「何をやっているのですか高屋敷君!もう出発しなければ入学式に間に合いませんよ」
「…ふえ?」
「さあ早く着替えて下さいな、もうギリギリです」
「え?え?なんのこと?僕留年したんじゃ…?」
「あれ?言ってませんでしたっけ?」
「なにを?」
「高屋敷君の為に新しく大学を設立してあげたのですよ。もう入学手続きも済んでます」
「え…ええー!?!」
「だから行きますよ」
「だ、だってでも留年したじゃん。今更大学とか無理じゃないの?」
「高屋敷君…世の中は書類で出来てるんです。この私にかかれば書き替えくらいいくらでも、ねえ」
「い、いいのかなー…」
「それにほら、君が将来私の妻になる時留年なんて経歴が付いていたら、親類に反対されてしまいますからね」
「なに人の将来勝手に決めてんだよ!」
「あ、着替え終わりましたね。では車に乗って下さい、飛ばしますよ」
―――――――――――――――
「(ガチャ)んしょ…このスーツちょっと大きい」
「シートベルトをしっかりね」
「うん」
「あと、首と舌に気を付けて下さい」
「お願い安全運転でってぎゃぁーーーー!!!」
「道交法なんて守ってたら間に合いませんよ…」
「あいたたた首が…!そういやその大学どこにあんの?」
「そ、うですねえ…あー……君の家から通うには、少し遠いかもしれませんね」
「え?じゃあ一人暮らししなくちゃいけないの?」
「無理すれば通えないこともありませんが、まあ、大学生なんですし。一人暮らしの経験は必要ですよ」
「安西先生、今人轢いたよ」
「大丈夫、ワイパーなら付いていますから」
「いやそういうことじゃなくて…あ、また轢いたよ」
「撥ねたんですよ」
「どっちにしろ死んだよ」
「大丈夫、ワイパーなら…あ、今のでもげましたね」
「フロントガラスが真っ赤で前が見えないよ」
「…大丈夫、スピードを上げて風圧で吹き飛ばします」
「これ以上上げるの!?前見えてないのに!!」
「ん?…ちっ、犬の鳴き声が……逃げますよ高屋敷君、どこかに掴まってないと死にますよ!」
「うわああパトカーがパトカーがあっぎゃあああああーーーー!!!」
―――――――――――――――
「…やれやれ、何とか逃げ切りましたねぇ…折角の高屋敷君の門出に、全く公僕は気が利きませんねえ」
「逃げたっつーか殺してたよね?手榴弾みたいななにかを投げてたよね?」
「まあまあ、良いじゃありませんか。今は君が通うキャンパスに夢を馳せていなさいな」
「…って言うか、そこ、何系の大学なの?あとなんて名前?四年?」
「んー…残念ながらそろそろ到着ですね。入学式が終わったら説明してあげますよ」
「はあ…なにも知らない大学に入れられるのか…」
―――――――――――――――
あっという間に入学式会場にぶち込まれました
見た感じ特に変わった点はなさそうです
でもまあ
それは高校の入学式もそうだったんだけどさ
【我が私立挫賂眼学院大学にようこそ諸君。君達は今後勉学に励み…
「(あれ…あの黒いモヤなんか高校時代に見覚えがあるなあ…って校長じゃんかなんでいるのー!?!)」
【では、首席で合格した新入生に挨拶して貰おうか…】
『はい、学長』
「(生徒会長まで!しかもなんか前より透明になってる!?)」
「(高校時代の分身をまた分身させたので、四分の一になってしまったからねえ)」
「(ぎゃっ!?なんでいるの安西センセ?!)」
「(そりゃあ、私もこの学校で教授をやるからですよ)」
「えええ!?!」
「(おや…大声を出してはいけませんよ?この続きは式が終わった後に話してあげますから、今は大人しくしていなさいな)」
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なんだか思考停止していたら
いつの間にか入学式は終わってました
じゃあ聞きたくないけど
嫌々聞きに行こうかな
「でー?結局みーんな高校から繰り上がりで持ってきたってわけー?」
「ええ、そうですよ。高屋敷君が淋しがると思って…学校長と会長君以外にも保健医の沢津橋先生は学内診療所に入ってもらいましたし、相模先生は引き続き体育教師です」
「じゃあ、この大学が教える内容もー…」
「はい。暗殺術、拷問学、黒魔術に洗脳、法に背いた科学、特殊体術、等々の…
【私達支配階級の為の手駒を量産する事を目的とした学び舎だ】
「あ、校長センセ…じゃなくて、もう学長か」
『高校も大学も変わらないよ。僕達生徒はこの私立挫賂眼学院大学の為に尽くすだけだ』
「えーと…大学にも生徒会ってあるの?」
「ある所はあるみたいですよ」
『体調が悪くなったらすぐ私の所においでね高屋敷君、学生は無料で診察してあげられるから』
「そりゃ学生さんはお金が無いけど…でも無料とはいえ死にたくは…」
『ま、大学教授の方が好き勝手やれるしな』
「あまりしないで貰いたいですけどー…」
「まあまあ、そんな感じに皆一緒です。大学でも宜しくお願いしますね☆」
「あああもうあの地獄を繰り返すのは嫌だぁーーーー!!!」