ガララ


「こんにちわー安西先生」
「こんにちは高屋敷君。それはそうと、そろそろ卒業式ですねえ」
「………」
「進学、若しくは就職は決まったのですか?」
「…受験はしたよ」
「で?」
「うるさいな!!ほっといてよどうせなんにもしてくれないんだから!!もう全然進路指導員とは思えないね!!」
「あ、聞いてませんでした。何ですって?」
「聞け!」
「いやあ、高屋敷君の下着について真剣に考えていたのですよ…」
「もっと他に考えることないの!?僕のコトにしたって進路とか!!」
「ああ。…下着バイヤーなんてどうです?」
「前の思考から抜け切れてないよ!」
「抜ける気がありませんもの」
「……もういい、自分で考える」
「それが一番ですよ。さて、私は高屋敷君に似合う下着のデザインを続けなければね」
「特注する気だったの!?つーかやめれー!!絶対履かないし!」
「君ももう少し胸があれば良かったのですが…」
「しかも女物の下着だった!!」
「今回もAAAサイズにするしかないですね…ああ、衣裳ケース一杯の特選下着集を身に付けさせられるのはいつの日か…」
「なに気持ち悪い収集してるの!?地球の自転が五倍になってもこねーよ!!」
「一年生の高屋敷君と初めて会った時から私は見抜いたのです、君にはBカップが似合うと。それ以来良い感じのブラを見掛ける度にコツコツと集めて今日に至るという訳です」
「そんな昔からそんな変態行為をしてたの!?!今更驚愕の事実教えないでよバカー!!」
「ははは」
「て言うか僕にBカップが似合うとか意味解んない…あと初対面でそんなこと考えるのも意味解んない…なにより安西先生みたいな変態がなんで教師やってるのかも全っ然解んない…」
「んーそれはほら、あれですよ。女子高生とか好きだから?」
「ああ、そう…なんか懐かしいねそれ」
「女装でも良いんですよ高屋敷君?」
「しねーよ!バカじゃないの?!」
「そんな!今しなければ、以降はなんちゃって女子高生になってしまうのですよ?青春の大事さをもっと分かって下さいな」
「女装の時点でもうなんちゃって女子高生だしそんな事に貴重な青春浪費したくないよ!あっち行ってよ!どうして僕サイズの女子制服を持ってるのさー!?」
「大丈夫ですよ。ほら、パンチラ対策にキュロットスカートへ改良しましたし」
「要らない気遣いだなーもう」
「気に入りませんでしたか?」
「三年間ずっと言い続けてるけど、気に入らないよ」
「女顔の癖に…」
うるさいな!!っていうか女装趣味なのは安西センセでしょ、自分一人でやってりゃいいじゃん」
「冷たいですねえ高屋敷君、君は三年間私に冷たかったですよ」
「自分に原因があるって思ってよ。それに僕だって安西センセから憎悪と殺意を抱かれてるとしか思えない行為を三年間受け続けてきたんだけど」
「それが私の愛です」
「歪み過ぎだよ!この偏執狂!!」
「やっぱり冷たいですねえ」
「もっとさあ…普通の教師愛を渡せないの?教え導く喜びとかあるでしょ?」
「私の思想を教育し私の歩む道へ手を取って連れて行く喜びはあります」
「一年生の時はみんなまともだったのに…ふと周りを見渡してみたらいつの間にかみんな殺人狂に目覚めてた…」
「だってこの学校はそういう学校ですもの。私達の動き易い世の中を作る為のねぇ…その為には洗脳くらい」
「ああ僕なんでこんな学校に入学しちゃったんだろ?!悪の組織なのに!しかもその幹部と毎日遊んじゃってた!!
「学校とはとても良いですよ、規律に違反する者は指導を行える。会社等ではこうはいきません…また、学校はとても閉鎖された世界でそれは子供達の願望でもある。子供の社会は概ね閉鎖的です。子供は秘密が大好きで、大人を認めない。…けれど我々教師はその子供の世界を覗き見ることが出来る。長い間、子供自体は入れ替わるが、しかしそれでも子供の世界は続いていく。まるで時が止まったように、私達は此処に居る。そして子供を…未来を…自分の思い通りにする事が可能になる」
「また電波受信?」
「どうして君だけは洗脳出来なかったのか。解らない。…けれどまあ、それも良いかと…」
「十分洗脳されたと思うけどなー。だってこないだ道で血を流して倒れてる人見て、危うくなんの感慨も無く通り過ぎるとこだったもん」
「それは感覚の麻痺でしょう」
「洗脳とどう違うの?」
「そういえばどうして三年間あんなに女装させたのに、感覚が麻痺してくれなかったんですか?未だに激しい抵抗をして困ります」
「困るのはこっちだ!つーかまたその話題に戻っちゃった!!」
「まあまあ良いじゃありませんか、生徒から教師への三年間のお礼ということで…」
「どんなお礼だよ!お礼参りに来てやるからなぎゃーーーーー!!!」
「ほら、とってもよく似合う。こんなに可愛い生徒を持てて先生とっても幸せです」
「変態教師ー!!」
「ああそうです、卒業する前に記念写真を沢山撮っておきたいですよねえ」
「え…」
「ついでに学校の何気ない風景も背景に入れたらきっと素敵な思い出になりますよ。さあ、校内で衆人の中、沢山沢山君の女装姿を撮りましょうね☆」
「いやだ放せ放…う、うわああああああーーーーー!!!

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