「高屋敷君、高屋敷君の頭を牛刀でカチ割らせてくれませんか?」
もう割ってるじゃん脳が脳がー!!
「すみません、昨日の晩から急に割りたくて堪らなくなって、君の了承を得る前に殴り掛かってしまいました」
「まあ聞いたところで了承しなかったけどね!?そんでセンセも了承されなくても割ってただろうしね!!」
「高屋敷君たら、脳が露出したままで元気ですねぇ」
「元気じゃないよ出血と頭痛でグラグラだよ!!病院連れてけー!!」
「病院は面倒臭いですから保険室で良いですか」
「面倒臭いはないでしょ自分でカチ割っておいて!まあいいけどとにかく助けてー!!」
「はいはい、暴れては脳味噌が零れてしまいますよ、高屋敷君」


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「…という訳なんでなんとかして沢津橋センセー!!」
「何だか治さなくても大丈夫な気もするのですが、一応宜しくお願い出来ますか?」
『ええ勿論、敏腕保険医の名にかけて頭蓋骨の補修をしてあげるわ。紙粘土でいい?』
「いいわけないでしょ紙粘土って!医療の発展した現代に紙粘土って!!」
「君の頭脳レベルなら油粘土だって上等ですよ。まあどっちが脳味噌でどっちが粘土か判らなくなりそうですけれども」
「ならやめてよ」
「それとも食べてしまいましょうか?サルの脳味噌の要領でこう、スプーンで掬って煮立ったスープに浮かべるのです。 一度沈んで浮いてきたら食べ頃で…」
レクター博士がいるー!!誰かー!レクター博士がいるー!!」
「だから我侭を言ってはいけませんったら」
『そうよ高屋敷君、あんまりワガママ言うと、肉削いで骨格標本にしちゃうわよ』
「しかし沢津橋先生、骨格標本にしては頭蓋骨が破損しています」
「なにがしかしだよ!あっちいけ猟奇理系教師共!!」
『じゃあ…人体模型かしら?』
「良いですね、しかしただ皮を剥ぐだけでは腐ってしまいますので…」
「『 屍蝋化しましょう 』」
「なに声揃えてんのなにすんの屍蝋ってなに!!?」
「土中・水中に死体が保存状態に置かれることによって体内の死亡が水や土に含まれる成分と結合し蝋または石鹸状の物 質に変化した遺体のことです。因みにあの有名な栄光の手や少女のミイラもこれにあたります」
『大丈夫よ高屋敷君。安西先生は科学に詳しいし、死体の加工は保険医の私が完璧にやってあげるわ★』
「いやだこっち来ないでっ…ひ…い、いやああああぁぁぁーーーーーー!!!




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ガラガラ


「こんにちは沢津橋先生作業の方はどうです?」
『ええ、順調ですわ』
「空気が無い事と冷やしておくこと、後はカリウム等を添えて置くだけで意外と簡単に出来ますからね。大層な機械が無 くとも冷蔵庫ひとつで出来るのが屍蝋の良いところです」
『そろそろ内臓も屍蝋化出来てきたみたいですわ。どこに飾ってあげようかしら?』
「可愛い服を着せてあげて下さいね。埃避けにもなりますし」
『そうねえ、着物なんかも似合うかもしれませんわ。…でも、皮剥がれた姿で似合うと思います、安西先生?』
「似合いますとも、高屋敷君はどんな姿でも可愛いですから。ねえ、高屋敷君?」

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