「高屋敷君、私と一緒に楽園で第二世界のアダムとイブになりませんか?」
「早く死んでよ安西先生!!とっとと失楽園しちゃえ!!」
「死ぬのが失楽園?…ああ、そうですねえ…楽園は、現世以外に在り得ない。そう、だからこの現世に楽園の創立をしよ
うと考えているのですよ高屋敷君私と君とで生きて生み増やせよと天井の神も言っていましたさあ私の子供を生んでくだ
さい高屋敷君それは義務なのですよ高屋敷君」
「電波だー!!あっちいけ電波やろー!!っていうか生めないよ!男だよ!!」
「ならば私が生みましょうとも」
「種付けもごめんだよ!もうしっかりしてよ先生、僕受験のことで疲れてるんだからややこしいこと言わないで!」
「残念です。…仕方がありませんね、では私が神となり箱庭の楽園を作りましょう」
「箱庭遊び?いいんじゃないの、精神療法の一つだし」
「しかし楽園を築くにしては生命の萌葱がありません。芝もプラスチックですし、生き物といえばこれくらいですねえ」
「…その摘んでるちっちゃいの、なに?」
「これですか。ヒメタカヤシキですよ」
「なんじゃあそりゃあ!!?なんで僕?!なんで小さいのいつの間にそんなの作ったの!?」
「ペットショップで買ったのですよ、350円で」
「安い!!」
「ツッコむのはそこで良いのですか?」
「どうせペットショップなんてウソでしょ…地下実験室でなんかセンセごちゃごちゃやってたもん。その時だ」
「バレましたか」
「作っちゃったもんはしょうがないけどー、やめてよこんなとこで育てるの!芝とかちくちくしてるじゃんかー」
「んー…では、ドールハウスでも買ってきましょうかねえ」
「ちゃんとベットがフカフカの本格嗜好のやつね」
「解っていますよ、高屋敷君。…ところで気付きましたか?」
「ふえ?なにが?」
「それ、メスなんです」
「ええええ!!?」
「ヒメだと言ったじゃありませんか」
「だ、だってそれは大きさを表してるのかと…え?なんで?なんでメス?」
「将来的には繁殖を考えて…」
「考えるなー!!つーかオスいないじゃん…!?ままままさか安西先生のミニと…」
「いやですねえ高屋敷君たら、いくらなんでもそんな不道徳的なことはしませんよ」
「さっき楽園創造とか言ってなかったっけ」
「ヒメタカヤシキ(オス)と交配させます」
「そっちの方が不道徳だよやめろー!!」
「近親相姦の極みですね。どんな子が生まれるのかとても楽しみです」
「ホントに異常者だなアンタ!!やめろ!やめろ!泣くぞー!?」
「もう泣いてるじゃありませんか。さてヒメタカヤシキ君、ご飯の時間で…おや?」
「え?」
「…逃げてしまいました」
「さすがちっちゃくなった僕だ!逃げ足早い!」
「落ちてないですねぇ…ああうっかりしました、折角作ったのにこんな形で失うだなんて…」
「こんなマッドサイエンティストの手の中に居るより、大自然で北海道の妖精コロポックルになってくれてよかった」
「そうですね…私達はこの美しい自然を、守っていかなければならないのです。この地上に生きる総ての生き物のために
も…!」
「ムリヤリいいこと言って〆めようとしてるのがムカつくけど、本当にそうだね…僕達は自然を守って、生き物達が子供
を育てる邪魔にならないようにしなきゃいけないんだ!!」
「…ヒメタカヤシキ君、そこら辺の鼠とか、小鳥とか、魚とかと交配して、小さな半鼠人やセイレンや人魚が生まれ
ていると良いですね」
「いい訳あるかグロファンタジストが!!」