センター二日目です

二日目は理系だから

文系の僕はそんなに緊張しないです



「私は理系の問題の方が好きですけれどね」
「問題が好きとか言えるのが変ー。まあお遊び受験だからだろうけど」
「君こそ文系とはいえ真面目に頑張らなくてはいけませんよ?昨日のように、お腹が痛くなるまで緊張することはありま せんけれどねぇ」
「わかってるよう」
「…ん、そろそろ始まるみたいですね」


――――9:30〜10:30 理科「理科総合B」「生物I」――――


「結果は如何でした?高屋敷君」
「ばっちりでしたよう。僕取ってるの生物だけどさ、うちの学校解剖実験異常に多いから筋肉の名前とか完璧ー」
「君なんて身体で覚えていますからね」
「初めて解剖されて良かったと思った!!」
「浮かれているところ悪いのですが、次の教科は何でしたっけ?」
「…………………数学」
「君の場合は算数です」
「うるさいなー!いいよ捨ててる教科だから…出来るだけ頑張るけどさ」


――――11:15 数学「数学I」「数学I・数学A」


捨ててる教科な数学だけど

ある程度の点数は欲しいわけで

でもこうして全然わからないわけで…


「(頭から煙が出ていますよ高屋敷君)」
うわああ!!?!
『…君、試験中に大声を出すのは違反ですよ』
「はっ!?あ、あああすみませんごめんなさい!!」
『静かにしなさい。次は強制退出だからね』
「はい…気を付けます」
「(駄目じゃありませんか高屋敷君、他の受験生の迷惑ですよ)」
「(いきなり頭の中に直接語りかけてこないでよ!て言うかなに?!そんな能力聞いてない!!)」
「(言ってませんもの)」
「(ホントに人なの先生!?)」
「(まあ良いから大人しく聞きなさい。今から数学の解答を教えますから、その通りに塗りなさい)」
「(え、ええ!?!)」
「(他の教科はいざ知らず、君の数学の才の無さは壊滅的ですからね…問題は受験しないと分かりませんし、だからわざ わざ受験してあげたんですよ?)」
「(だだだダメだよう安西先生、インチキはよくないよー)」
「(綺麗事は止めなさい、聞かせてしまえばこちらのものです。ではいきますよ、まずは…


数学「数学I」「数学I・数学A」 12:15――――


「いやあ、今年はなかなかの問題でしたねえ」
「…」
「で、書きました?」
「…書いちゃった」
「あっはは!まあ君の意志の弱さはよく知っていますよ」
「あうう、カンニングしちゃった…世の受験生に申し訳が立たないー…」
「馬鹿な、テレパシーでカンニングなんて有り得る訳が無いでしょう?」
「のうのうとよく言えるね…」
「証拠が無ければ犯罪にはなりませんよ。では、お昼を食べながら次の数学でも楽しみにしていて下さいね」


――――13:30〜14:30 数学「数学II」「数学II・数学B」――――


「はあ…」
「また書いちゃったんですね?」
「…うううー」
「良いじゃありませんか?私は問題で楽しめましたし、君は良い点を取れた。誰も不幸になっていない」
「僕が良い点を取ることで誰かが順位を下げるんですー…」
「誰かって誰ですか?そんな知らない人は知りません」
「もういい…この事は忘れて生きていきたい…」
「いけませんよ高屋敷君、不正を行ったという事実を身に刻み込んでこれから先を生きていきなさい。それがカンニング を行った者の罪と罰です」
アンタのせいだよアンタの!!
「数Vも解きたいものですねえ、あれはなかなか楽しいですし」


――――15:15〜16:15 理科「理科総合A」「化学I」――――


「高屋敷君、良い物をあげますよ」
「え?mp3プレーヤー?なんで?」
「まあまあ、良いから聞いて御覧なさい」
「?…!?なにこれなんか妙な音楽と共に公式とか構成式が流れてくる!!怖い!どことなく宗教的 な雰囲気すらする!!」
「無意識下の奥の奥に知識を埋め込む、有体に言えば洗脳ですよ。これでど忘れも無いでしょう」
「で、でも、なんかこれ…」
「業者に頼んで突貫で作らせたのですから、ちゃんと使って下さいよ?では、私は席に戻っていますからね」
「あ、ねえ…これ……………インチキじゃないのかなあ?」


――――17:00〜18:00 理科「物理I」「地学I」――――


「落下速度の問題がありましたね。高屋敷君を屋上から投げ落としておいて良かったです」
「熱力学の問題もあったね。安西先生に鍋で煮られておいて良かった」
「摩擦熱の問題もありましたが、君をコンクリート上を引き摺り回した事は余り関係ありませんでしたね」
「でも電流の問題もあったし電子の問題もあったから、エンジンバッテリーに直列で繋がれたのは役に立ったよ」
「そうですか?まあ君が理科教科を上手くこなせたようで安心しました、理科教師としてね」
「暴力教師の方が正しいけどね!」
「それでは二日間お疲れ様。家に帰ったらゆっくりお風呂に入って、ぐっすりお眠りなさい、高屋敷君?」

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