「安西先生安西先生、先生はどうしてそんなに舌なめずりをするの？」
「それはですねえ高屋敷君、おまえを食べるためさ。とこういう訳です」
「今更そんなこと言われても全然動じない。でも別に食べていいってことじゃないよ」
「それは残念」
「あーあもう冬休み終わっちゃうー。明日から学校じゃん、実力テストもやらなきゃだしー」
「冬休みに沢山講習に来ていたではありませんか、身に付いた学力を試すチャンスですよ」
「そんなチャンスいらないよぅ、もっと遊びたいよ！」
「そうですねえ、受験生の君がそんな事を言っていて良いのかとも思いますが、まあ最後の冬休みですし遊びましょうか 」
「あそぶー！！なにして遊ぶ？」
「……乗馬とか…？」
「背後で三角木馬がチラチラしてるよ安西センセ、騙されないよ僕」
「ちっ…」
「もっと普通にトランプとかでいいじゃんトランプ！僕久しぶりに大富豪やりたいの、コタツでみかん食べながらトラン プやりたいー！！」
「何度も言いますが、北海道の家にコタツはありませんよ」
「買って！！」
「…まあ、良いですけれどね」
「じゃ行こう、電気屋さん行こ？」
「はいはい、ちゃんとコートを着て下さいね」
「はーい」

―――――――――――――――

「…意外と種類があるのですねえ」
「わー僕これがいい！このいかにもコタツっって感じのこれがいいー！！」
「そんなでかいコタツをあの狭い進路指導室に置くつもりですか？」
「広くして！！」
「最近私より我侭になってやしませんか高屋敷君？」
「これがいいこれがいいこーれーがーいーいーーー！！！」
「解かりましたから大人しくして下さい。業務妨害で訴えられたらどうする気ですか」
「あとねー僕掘りゴタツが良いー」
「………このクソガキ」
「このコタツ可愛ー！ネコさん柄なのーセンセも入ってみなよほらぁー」
「もう良いじゃありませんかここでトランプをすれば。面倒になってきました、現金をあげますからコタツのことは忘れ てくれませんか高屋敷君」
「いや！！」
「三者面談が必要かもしれませんね」
「でも予行練習としてトランプやっとくのはいいよね。今カード配るから待っててね」
「え…本当にやる気なのですか？」
「自分から言ったんでしょ？はい」
「冗談というか、そんな感じで言ったのですけれど…ねえ高屋敷君、私にも一つくらい我侭を言わせてくれませんか？」
「いいよー、なんでも聞いてあげるよ一個だけ」
「なんでも？絶対ですね？」
「うん」
「では、負けたら脱衣で」
「うわああド変態ー！！」
「一回負ける毎に一枚ですからね。私から出しますよ」

「…あのさあ、安西先生」
「何ですか、高屋敷君？」
「ワザとやってるでしょ」
「何をですか？」
「だから！！わざと負け続けて脱いでるでしょって言ってるの！！」
「そんな事はありませんよ、いやあ高屋敷君は強いですねぇ〜」
「うわあんいつもとは逆のセクハラをしてくるよぅ、そろそろ警察屋さんが来ちゃうよぉ！！」
「ところで、私は下着を身に付けない派ですので次に下を脱いだらもう全裸です」
「勝ってお願いだからそろそろ勝って！？」
「大丈夫ですよ高屋敷君、脱いでもコタツに入っているから見えやしません」
「そういう問題じゃないんだよう安西先生！」
「高屋敷君、未だに君の倍以上手札が残っているのですがどうしたら良いんでしょうね」
「さっきからパス連発しやがってホントはいい手札持ってんだろ！！それを出せ！！」
「何の事だか解かりません。ああ困りました、このままでは野外で全裸露出プレイをする羽目になりそうです、代金も取 っていないのに」
「援交の話を堂々とするなって言ってるじゃない！！もういいよもう帰る！もう大富豪おしまいー！！」
「戦線離脱ですか高屋敷君？」
「そうしなきゃとんでもない事になるじゃん」
「じゃあ全部脱いで下さいね」
「なんで！？なんで僕が！！」
「だって逃げるんですから当然じゃあありませんか、さあ脱いで下さいさあ全部、さあさあさあ！！」
「いやああそれもいやああもうどっちに進めばいいのか判らないよ助けて！！」
「大丈夫ですよ高屋敷君、脱いでもコタツに潜っていれば見付かりませんもの」
「出られないよ！！どうやって帰ればいいの！？」
「それは簡単です」
「はえ？」
「私がコタツごと買ってあげますよ」

郵送トラックの中で

ダンボールの中で

コタツの中で

僕は丸くなって隠れてる

お願い安西先生

早く僕のこと受け取ってください