ガララ


「こんちわー安西先生」
「こんにちは高屋敷君…高屋敷君、何を持っているのですかそれは?」
「ひろったのー」
「拾ったって…そんな物がその辺の道端にホイホイ落ちてる訳が無いじゃないですか」
「でも落ちてたの」
「…ふう…まあ君は嘘なんて吐けない子ですしねえ。兎に角、元の所へ返してらっしゃいな」
「やー」
「やじゃありませんよ、汚いでしょうそんなもの」
「洗うよー」
「いけません。さあこっちに寄越しなさい」
「むえ〜!!」
「訳の解らない泣き声を上げないで下さい。寧ろ鳴き声の方が近そうですが」
「いやいやいやあー!!これ僕の〜!!」
「ふう…やれやれ、本当に困った子ですねぇワガママさん?」
「僕が拾ったんだもん、僕の」
「代わりにこれをあげますから」
「やったー!!これもういらない。あげる」
「本当に君は今泣いたカラスですねえ…」
「えへへーこれ可愛いー」
「しかし、一体こんなものをどこから…ねえ高屋敷君、どこで拾ったのです?」
「校門の前だよー」
「…」
「いっぱいあったよ」
「うちの生徒ですか…受験生はこれだから…」
「なにがー?」
「君は受験生なのに呑気ですねえ」
「ねーねー安西センセー遊ぼうよー!」
「…高屋敷君…君はもう三年生になったのですよ?進路とか勉強とか、考えているのですか?」
「え?でもどうせ卒業までに僕死ぬもん」
「おや…教育を間違えてしまいましたね」
「なにが?」
「まあ取り合えず、一人で遊んでいなさいな。私は片付けてこなくてはいけません」
「どして?カラスが食べてたよ、そのうち片付くよ」
「それが拙いのですよ。いくら国家権力など物ともしない私達の学校でも、外部に面倒事が漏れると困ったことになります。新入生は欲しいですからね」
「じゃあ遊んでくれないの?」
「掃除が済んだらね…」
「むー」
「ところで高屋敷君、君はこれが何か知っているのですか?」
「知らないよ。なんなのー?」
「…いえ、知らない方が良いでしょう。では、良い子で待っていて下さいね」





そういって安西先生は

ガソリンとマッチを持って出てっちゃいました

ねえ先生

ホントはまだポケットに入ってるの

でもこれ綺麗だし

人に見せないからいいよね?

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