ガララ



「こんにちわー安西センセー」
「こんにちは高屋敷君、ところで結婚してくれませんか?もうダイヤの指輪も用意してありますよ、ほら」
「わあありがとう安西先生!僕昨日ちょうどトリビアの泉のビデオみてダイヤモンドは金槌でぶっ叩くと割れるって

のやりたくて堪んなかったの!!」
「ああ、五百万のダイヤを飛び散らかせていたやつですね。でもこれはそんな安っぽいものではありませんよ高屋敷君、路上の小石程も価値の無い君の為にせめて装飾品だけでもと最上級品をわざわざ採掘場に行かせてまでバイヤーに探させたのです。幾らだと思います?」
「知らない!」
「ここまで言っても金槌を探す君は本当に一年の頃と比べると逞しくなりましたよねえ。言っておきますが、君の親戚全員の身体をバラして闇に売っても半分の値段にもなりませんよ?」
「知らないよそんなの。センセが勝手に僕にくれたんじゃん、あとは僕がなにをどうしようが勝手だよ」
「…可愛くないですねぇ〜…」
「可愛くないなら求婚なんてしないでくんない?」
「そうします。…ああ、最近の高屋敷君は私のセクハラに真っ赤になって怒らなくてつまりません。可愛かった頃の高屋敷君は何処に行ってしまったのでしょうか」
「自分がそうしたんだよ?」
「黙りなさい」
「えー…」
「高屋敷君、これから私は可愛い高屋敷君を探す旅に出てきます。止めないで下さいね」
「いないよ!目の前にいる僕しか高屋敷はいないよ!止めはしないけど!!」
「見ていなさい高屋敷君、君なんかよりずっと可愛い高屋敷君を見事探してきてあげますよ(ガララバシャン)」
「あ、行っちゃった……そんなにセクハラが好きなのかなあ…?」



…ガララガシャン!



「さあ御覧なさい高屋敷君!先生、ちゃんと君より可愛い高屋敷君を見付けてきましたよ」
「ウサギじゃんか!!!僕は人間だよなんだと思ってんだよ!?」
「ああ、高屋敷君高屋敷君、可愛いですねえ〜人参を食べますか?良い子ですねぇ美味しいですか?…ふふふ、くすぐったいですよ」
「ウサギだと撫で回してもセクハラにならないのに?」
「高屋敷君、五月蝿いですよ。死んで下さい」
「冷た…」
「良い子ですねえ高屋敷君、可愛いですよ。フカフカで気持ちが良いです…キスしてくれるのですか?嬉しいですよ」
「僕の名前で呼ぶのやめてくんない?キモいなあもう」
「死ねと言ってるじゃありませんか。さあナイフを貸してあげます」
「手の平を返すように冷たいね。やっぱ嫌いだろ僕のこと」
「嫌いですね、兎の高屋敷君の方が可愛かったです。今までの私はどうかしていたとしか思えません、早く帰って下さい」
「雪止むまでヤダ」
「ああそうですか。…ああ高屋敷君くすぐったいですったら…ぽかぽかですねえ君は……抱いて寝たら気持ち良さそうです、一緒にお昼寝しましょうか」
「センセ、シーツ毛まみれになるよ」
「邪魔です」
「…いいけどね、別に…洗濯はしないよ僕」
「………」
「センセ?…安西先生、寝ちゃったの?」
「……」
「もう、ホントに抱っこしたまま寝ちゃって…寝返りしたら潰れちゃうからダメって言ってるじゃん」
「……」
「ケージ入れとくからね」
「……」
「…ごめんねセンセ。結婚はしないけどさ、指輪、大事にするから」
「……」
「僕もう帰るから…また明日…遊ぼうね、安西先生」


カララ…パシャン




―――――――――――――――




「こんにちわ安西先生」
「こんにちは高屋敷君…おや」
「う?…あ、これ?指輪に使うのはなんか結婚の承諾みたいでやだったから、ペンダントトップ」
「へえ…」
「なんか高いみたいだし大事にするからさ、機嫌直してよ安西センセ」
「え?まさか本物のダイヤだと思っているのですか?」
「…え?」
「はは、そんなガラス玉を後生大事に持つつもりですか高屋敷君?君は本当に鑑定眼の欠片も無い節穴の目ですねぇ、代わりにガラス玉でも入れた方が良いのではありませんかこの貧乏人☆」
「うっわホントムカつくっ!!いつか復讐するから覚えてなよね安西先生♪」

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