「…おや?どうしたのです高屋敷君、そんな階段の踊り場でひんひん泣いて。血塗れですが怪我でもしましたか」
「ちがうよう、よろけて踊り場の血溜りに突っ込んだのー…」
「それはそれは、怪我がなくて良かったですね」
「よくないよ血生臭いよー!!うあーん!!」
「ああ、泣かないで下さいな高屋敷君…何とかしてあげますから」
「ホント…?」
「はい、校内全てを血生臭くしてあげます。鉄臭いのは君だけではなくなりますよ」
「そんなの全然解決してないー!!」
「え…では、角材でぶん殴って本当に血を…」
「いやいやいやぁー!おふろ!!おふろじゃなきゃヤだー!!」
「お風呂なんてありませんよ、ここは学校です」
「おーふーろー!!」
「やれやれ、我儘っ子なので困ります…」
「えーんえーん!血臭で気持ち悪くなってきたよー!吐きそうだよー!えーん!」
「分かりました分かりました、運動部のシャワー室を借りましょう」



―――――――――――――――



「…はい、脱ぎ脱ぎしましょうねえ高屋敷君」
「えんえん…ひっく、ひっぐ、べたべたして脱ないよー!」
「よしよし、良い子だから泣かない子ですよー」
「あーん!ボタンがー!ボタンがぬるぬるで外せないよー!」
「外してあげますよ、大丈夫…泣かない泣かない」
「えっくえっく…寒いよー」
「大丈夫大丈夫、ほら全部脱げましたよ。シャワーにしましょう、温かいですからね」
「頭、頭洗って」
「はいはい、解りました。頭ですね」



チャ…パタン



「お湯ーお湯ー」
「出始めは冷たいですからね」
「冷たいっ!!」
「まるで人の話を聞きませんね君は。…ああ、あまり熱いと血が凝固するので、程ほどにね」
「あったかくなったー」
「では頭を洗いましょうか、高屋敷君。随分血が絡んでいますし」
「こしこし?」
「ん?…ええ、こしこししてあげますよ」
「早くー!血が滴って目に入ってるー!」
「あ、シャンプーが備え付いてませんね…まあ石鹸で良いでしょう」
「人に頭洗って貰うのってー気持ちいいね」
「高屋敷君の髪は洗っている方も気持ちが良いですよ」
「うー」
「あとは身体を…右膝と上半身が酷いですねえ、早く立ち上がらないからですよ」
「だってぬめってて立てなかったもん」
「自立しなさい高屋敷君。私は服を着たままなのですから泡が付きます」
「あんま泡たってないじゃん」
「それは血に含まれる塩分のせいで…これは石鹸では無理ですね、食器用洗剤を取ってきます」
「せめて洗濯石鹸にして!!」
「流しますよ高屋敷君、目を瞑って下さいな」
「あー」
「まだ多少こびり付いていますが…後は家でお母様にでも頼んで洗って貰いなさい。二つの意味でお母様の方が適任です」
「? よく分かんないけどバスタオルちょうだい」
「どうぞ」
「んあー…やっと人心地付いたー」
「着替えもどうぞ」
「ありがとー…なんで僕サイズの制服持ってんの?」
「いえ、女装用の…」
「うわホントだ女子制服だ!!いらないこんなの!!」
「しかし他に着替えがありませんし…私のワイシャツで良いならあげますが、確実に袖余りになりますよ?」
「………ま、あとでジャージに着替えればいっか」
「けれどもまあ、血糊が落とせて良かったですねえ」
「うん、さっぱりしたー」
「キレイキレイしましたねえ高屋敷君、ピカピカですよ」
「えへへー」
「そしてそんな高屋敷君を汚すのが私の勤め…」
「…」
「ちょっと雑巾汁とか、虫汁とか、便器の水とかをバケツに汲んできますので待っていてくれますか?」
「イヤだよなんだよそのイジメ水!!教師の癖にイジメの主導者になるなよ!!」
「イジメとは失敬な、私が行っているのは虐待です」
「なにを胸張って言ってるんだよ頭おかしいなホントにもう!帰る、僕もう帰るー!!」
「待ちなさい高屋敷君。私はまだ君を虐め終わっていません、頭を洗ってあげたりと可愛がるのは虐めのちょっとした香辛料であって本質的な私の喜びは虐待という名の神聖な加虐に内包されまた包括されるのであり
うるさい黙れー!!Sっ気丸出しにするのもいい加減にしろよ社会人だろ一応!?」
「ふふふ…逃げようとしてもそうは行きません…何せ扉も窓も朝からの寒風で凍り付いているのですからねぇ」
「え…」
「本当ですよ、現に私もイジメ水を手に入れようと今ドアノブを回したところで気付いたのです。開かない。とね…」
「その妙な落ち着きはなんなのさ?!アホかアンタ!!」
「落ち着いているのは当然です、だって私のイマジネーションはイジメ水など無くとも、君を虐める方法など全く無限に思い付けるのです。たとえ閉ざされて小道具の少ないこの状況でもね」
こんにゃろ頼りにならないどころか最低だ!!ちょっとは出る方法考えろよわーもうホントに開かない!!」
「どうやら明日助けが来るまで、ここでカンズメになるしかないようですねえ高屋敷君…」
「…う、あ…な、な、なんですかその棒ホウキ分解したら後で用務員さんに怒られますよだからさやめようそれで殴るとかやめようよやめてよマジでギャああああああ!!!!

熱湯をぶ

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