【来たぞ、安西教員】
「ああ、こんにちは氷室さん…ではなく、学校長と呼んだ方が良いですかね」
【一応は会議だからな。…昼飯中か?】
「いいえ、少し早いですが晩御飯を…そうそう高屋敷君、学校長にご挨拶をしなさいな。……やれやれ、挨拶も出来ないようでは立派な大人になれませんよ」
【おい、会議に部外者を入れるなと……高屋敷君が何処に居る?】
「え?」
【うん?】
「何を言ってらっしゃるのですか、ここに居るじゃありませんか。ほら」
【カップ麺じゃないか】
「不健康な食事には一手間を加えるのが、私の主義ですから」
【…成程、そのカップ麺にしては妙に厚い肉はそういう事か】
「これが全然スープに合わなくて不味いことこの上ないのですよ。安っぽい食事に合わないとは、高屋敷君たらなかなか生意気ですよねえ」
【晩飯が二時でカップ麺、か…もう少しまともな物をまともに食え】
「今日が特別なだけですよ」
【…明日、席を取っている店がある】
「おやおや、ありがとう御座います。氷室さんと食事に行くのは久しぶりですねえ」
【もういい。この話は会議が終わってからだ】
「そうします。…しかし、会議と言っても私と学校長と、生徒代表の会長君だけでしょう?雑談くらい良いじゃありませんか」
【そういえば会長君はどうしたんだ?】
「そろそろ上がるんじゃないですかねえ」
【上がる?】



ガチャ



『申し訳ありませんでした、安西先生。シャワーをありがたく使わせて頂きました』
【……】
「ん?誤解なさってますか氷室さん?」
【いや…会長君がお前に付き合って、そんな馬鹿な事をする訳が無いとは思うが…な】
「会長君は時間より早めに来たので、高屋敷君の解体を手伝ってくれたのですよ。そのせいで血塗れになってしまいましたので…」
『シャワーをお借りしたのです、校長先生』
「50gずつラップに包んで小分けに冷凍してくれたのです、よく気の付く生徒で素晴らしいですねえ」
『お褒めの言葉ありがとう御座います、安西先生。これからもご期待に沿えるよう努力していきます』
【もういい。会議を始めるぞ】
『はい、校長先生』
【今回は…生贄の件か?】
「ああ、その事なんですけどねえ…ッズ…ズズ……ん、…先方が、ズル…ってきた人数は……ズルズルズズゥッ…」
【麺を啜るのを止めろ、安西教員】
『差し出がましいかもしれませんが、俺が説明させて頂きます』
【行儀が悪いな全く…ああ、頼むよ】
『先方から指定された生贄の人数は、既に達しています。が、どういう訳か先方から反応が無いので我々の計画に支障が出始めました』
【ふん…】
『文書による再三の勧告を続けていますが、返答は一切ありません』
「で、ですねえ学校長?先方宛には武力行使で、こちらのいう事を聞かせても良いですか?」
『もうその段階には、来ていると思われます』
【…うむ……そうだな、それも良いだろう】
『も。ですか?』
「何か問題でもありました?」
【いや…ただな、向こうからの返答が無いというのが気になる。…駆け引きという訳でもなさそうだが】
「まあまあ学校長、考えていても仕方ありませんよ。こちらが乗り込めば解る事ではありませんか、さっさとやってしまいましょう☆」
『俺は安西先生の意見に賛成です』
【…聡美、お前には明日色々と話がある】
「それでどうなさるんです?最終的な判断は学校長が下して下さいな」
【ああ。…良いだろう、武力行使を許可する。但し、慎重にな】
『ご命令に従います、校長先生。では送り込む攻撃手段の事ですが…』
「ああ、それなら私がやりますよ。…っと……」
『安西先生、食べ終わったカップ麺なら俺が処理を…!?』
【なっ…!?】
「ああ、流石カップ麺は下劣な感じの化け物になるんですねえ〜…紫というよりドドメ色で、良い感じですよ」
『安西先生、それは一体…』
「さあ、何でしょうねえ?元はカップ麺なのですが」
【…使えそうだな】
『宜しいのですか?』
【構わんさ。良いぞ安西教員、後は任せる…向こうに送り込んでおくようにな】
「はい、任せて下さいな」
『………。では、俺はこれで失礼致します。校長先生、安西先生、勤務時間外の会議お疲れ様でした』
【私も帰るとしよう。明日の約束を忘れんようにな、聡美】
「ええ、二人ともお疲れ様でした」

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