今日は終業式でした

これから冬休みに入るんですが

終業式の最中先生達が


『長期休暇に入るからって調子をこくなよガキ共!!』


とぶち切れて色んなものを乱射し出したので

僕は座席の下に入って小さくなってました

二時間位したら収まったけど

生徒は殆ど死んでました

もう三年生の受験も本格的だし講習とかいっぱいあって

先生達も疲れてるんだと思います

ごめんね先生達

僕勉強がんばるからね


「とゆーわけでお休みに入ったけど、退屈だねー安西センセー」
「…惨劇を見た後よくそんな事を言えますねえ、お勉強はしてるのですか?」
「うーん…模試でマークシートのやつ最近受けたけどー…やっぱり数学がぁー」
「他の教科はそこそこ取れるのですがねぇ、どうしてそんなに数学が出来ないのでしょう?」
「いいもん文系行くから。…んしょ、お菓子どこー?」
「そこの戸棚にありますよ」
「んぅー…あったあった!」
「ああでも高屋敷君、おなかが減ったなら今日はお菓子ではなく食事にしませんか?」
「ごはん?」
「ええ、君の為に用意していたのです。どうぞ、ちょうどレンジで暖め直したところですから」
「わーおいしそういい匂いー!!お肉料理かー…安西先生相変わらず料理得意だねっ」
「はい、腕を奮いましたよ。一番良い状態のクローンを潰した肉ですから」
「…クローン?……なんの?」
「私の」
!?!
「いつも私が君を食べてばかりなので、今日は君に私を食べて貰おうかと思いましてねえ」
「あ…あー……ごめんね先生、あの、僕ダイエット中で…」
「それ以上小さくなってどうする気ですか?タンパク質が豊富ですから筋肉が付きますよ。さあ食べて下さいな」
「うあっ…や、あのね…あのー…そうだ、うんあの、ダイエットは表の理由で…ホントは身体を清めるために生臭断ってるの…ほら…お正月でお参りとかしなくちゃいけないからさ…」
「そう…ですか、それは残念です」
「ん…ごめんね…」
「仕方ありませんよ。では、これは私が食べるとしましょう」
「(うわ…食ってる…)」
「このクリームソースにも拘ったのですが…君に味わって貰えないのは本当に残念ですよ」
「へ、へえー…どんなクリームなの?」
「遺伝子を弄って女性にした私をホルモン投与で母乳が出るようにして
「わーそうなんだすごいな科学の発展ってホントすごいよねもう僕びっくりだよびっくりしたからもういいよ!!!」
「もう少し脂肪を付けさせても良かったかも知れません、次回高屋敷君に食べさせる時はもう少し飼料を工夫して…」
「いいんだよ先生僕の為に苦労してくれなくても!?」
「そんな、だってあの牧場は君に食べて欲しくて作ったのですよ?」
「どんな規模でなにをやってるのさ!?怖いよ止めてよ!!」
「見学に行きますか?冬休みを利用して」
「行かないよ!!」
「どうしてですか?良い肉に育ったら君の肉と合い挽きにしてハンバーグをと考えているのですが…」
「僕のクローンもいるの!?」
「そりゃ本当は本物の肉の方が良いですけれど、毎回君は怒りますし」
「もうやめて頼むから!ここのところ食べてばっかりじゃない、ねえもういい加減に別な事に思考を向けてよ安西先生、ね?ね?なんか健全なことしよう?」
「そんな事を言われましても…健全とは完全無欠な私に唯一欠如しているものであって」
「どこが完全無欠なのさ?!それが欠けてたら人としてヤバいよ!!あと他にも色々欠けてると思うよ!!
「煩いです高屋敷君煩いです。君の身体を色々欠けさせてあげましょうか?」
「ぎゃーイヤですよぅクリームソース掛けになんてされたくないよ!」
「安心なさい、クリームソースはもう飽きてしまいましたので次は美味しく煮込んであげましょうさあこっちに来なさいさあ行きましょういらっしゃいな高屋敷君☆」
「行くってどこに行くのそんな大掛かりな調理道具がある所に連れてかれるんですかいやいや許してあああボストンバックに詰め込まないでください出してチャック閉めないでうわあああぁぁーーーーーーー!!!





―――――――――――――――





「………君……高屋敷くーん?起きて下さいな、着きましたよ」
「…ふ、え………」
「着きましたよ」
「…………ぎゃああああ殺される煮られる茹でられる食われるー!!助けて誰か助けてぎゃああ放せー!!
「放しませんよ、お鍋にぶち込みましょう。それではいってらっしゃい☆」
「あぎゃあ投げ込むなうわああああ(ドボン!!ワボブゥッ!?!
「湯加減はどうですかー高屋敷くーん?!」
ゲホガハァ!アゴフブ…ゲフッ、エホン!!熱いよ熱い!!熱い…けど……?あれ?」
「湯加減はどうですか、高屋敷君?」
「この硫黄の臭い……え?温泉?」
「登別の湯です。冬休みですし温泉旅行でもと」
そうならそうと言えー!!ホントに鍋にぶち込まれたかと思ったじゃんか思い込みで人は死ぬんだぞー!?」
「ちょっとしたサプライズプレゼントですよ」
「小さな親切大きなお世話ー!!」
「まあまあ、美味しいご飯を晩には食べさせてあげますから。今はゆっくり身体を湯がきましょう」
「いや、僕服着たまま放り込まれてんだけど…」
「何をしているのですか高屋敷君、そんな事をしては他のお客さんに迷惑でしょう?ふざけてないで早く脱いでいらっしゃい」
「えーん僕悪くないのにー!!」
「あ、脱いだら背中流して下さいねー」
「絶対やってやるもんかセンセのアホー!!ガララバシャン!!)」


―――――――――――――――


「いやー良い湯でしたねえ高屋敷君。日頃の疲れもさっぱり洗い流せましたね」
「あのさあ…本場の温泉のお湯に入浴剤入れるのってたぶん、なんらかの犯罪だと思うよ?」
「黙ってれば分かりゃしませんよ」
「お湯蛍光グリーンになってたのに?」
「黙りなさい高屋敷君。胃にバブを突っ込んで水を飲ませて出た二酸化炭素で胃袋破裂させますよ?」
「ご飯なにかな安西先生!僕おなか空いちゃってペコペコ♪」
「カニ鍋かすき焼きか、選べるらしいですが…」
「すき焼きにしてすき焼きに!!カニは怖いからイヤ!!」
「トラウマになってるのですねえ高屋敷君」
こえー!!カニこえー!!
「解かりましたからちょっと静かにしなさい」


―――――――――――――――


「すき焼きおいしいぃー!!」
「本当に騒がしい子ですね…すき焼きで騒ぐとは、戦後ですか君は」
「だってーすごくいいお肉じゃん。センセと旅行に来るとこういうとこでいい目見れるんだよねー」
「悪い目は?」
「殺されるとこっ♪」
「殺しませんよ、今ご飯を食べてる最中じゃないですか」
「お腹が空いたら殺すって事なんだ…もう先生一生四六時中もぐもぐやってなよ」
「暇になっても殺しますけどね」
「だからもうご飯の最中に殺すとかやめてよもっと楽しい話題できないの?!」
「……すき焼きといえば牛肉ですが、牛の屠殺はどうやるかというと」
「それが楽しい話題なんですか!?もうどうやったらそんな人生観になるの?!」
「いやーそれが楽しい話題を出せそうに無いのですよ…色々仕事が切羽詰ってまして、こうして君と旅行しているのも結構ギリギリで…」
「ふえ?…あ、そっかだからなんか今回強行なんだ?お風呂もあんまり浸かってないしー」
「ええ、本当は二泊三日くらいしたかったのですが、残念ながら一泊で我慢して下さいね」
「んーん、気にしないでセンセ。僕連れて来て貰っただけでも嬉しいよ、ムリさせてごめんね?ありがとー」
「そう言って貰えれば、無理をした甲斐がありますよ」
「センセとの温泉旅行も二回目かー…一年の時だもんね、懐かしいなあ」
「あの頃の高屋敷君はあまり逆らわなかったのにねえ…」
「やだなぁセンセってば、今だって僕センセの言うこと聞いてるよ」
「ん?」
「この不自然に苦いフルーツジュース、睡眠薬が入ってるんだよね?知ってて飲んでるんだよ僕」
「おやおや、バレていましたか」
「僕いい子でしょ?」
「ええ、君は昔も今もとっても良い子でしたねぇ…はい、良い子良い子」
「…」
「…高屋敷君?」
「……すー…すー」
「ふふっ…おやすみなさい、高屋敷君」

 BACK