ガララ


「こんにちわー安西センセ…あれ?いないの先生ぇー?」
「いますよ」
「わびっくりした!!急に背後から出てこないでよー」
「それは失礼。少し出掛けていましてね」
「ふーん…どこに行ってたの安西先生」
「ペットショップに…」
「? また新しい子買ってきたの?」
「子というか、子達というか…いや、あまりこっちは好きではないので、子なんて呼びたくないのですが…」
「なにグチャグチャ言ってるのー?結局なに買ったのさー」
「見たいですか」
「うんっ!」
「では、どうぞ」
「…?…なんか…ガサガサいってる…動物系の動きじゃない…?」
「箱を開けて御覧なさいな、開けてみなければ何も始まりませんよ?さあ開けてみなさいな高屋敷君」
「凄くヤな予感がするんだけど、僕好奇心に勝てないです。んーと、ここかな?………え?…あ…あっぎゃあああああああああああ!!!?!?
「あっはは引っ掛かりましたねぇ虫ですよ高屋敷君いえ蟲と言った方が正しいかもしれませんねさあ身体に這わせて下さい口に咥えて下さい似合うでしょうねえきっとさあさあさあ!」
「うわーうわーうわー足が足が足がやたらいっぱいあるし長いしキモい!!こっち来るな五十匹くらいの群れでこっちに来るななんで僕にだけ向かってくるの安座センセの方に行けよー!!!」
「それはやはり類は友を呼ぶという奴ではないでしょうか。この私に虫なんて似合いませんが、虫と同程度の知能レベルの君には同類でしょう」
「死ねー!!いひゃ?!うあ、やあああ服の中入ってきたはいってきたぁたすけてあんざいせんせたすけてきもちわるいきもちわるいキモチワルイ!!!」
「えー…っと、確かこの箱がチャバネゴキブリで…三十匹くらい買ったのですよ、北海道から殆ど出たことの無い君に本物のゴキブリを見せてあげたくて☆」
「嘘吐けいいから助けてホントにもうムリムリあああ放たないでゴキブリも放つのやめてお願いもういっぱいいっぱいだからお願いやめていぎゃああああぁぁあぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!!!
「あとはまあナメクジとかゲジゲジとかアカアリとかよく分かりませんが蛍光グリーンの小さなクモとかそんなとこ

ろです。全部合わせたら三桁の後半いきますかねぇ?大丈夫ですよ、ちゃんと全てペットショップで購入したものですから無菌ですので食べても大丈夫です」
食べないよバカじゃないのやだやだやだ中で這ってる服の中で這ってる地肌に触ってる冷たいキモチワルイぬるぬるする痛い硬い痛い気持ち悪いいやだいやだあっちいけ離れろ離れろおぉ!!
「…こういうゲームありましたね、そういえば」
「いやだそこヤダイタイイタイ助けてお願い助けて耳に入ってきたのガサガサいってるのお願い先生助けて気が狂いそう助けてあああああああああああ…!!!
「ははは、全身掻き毟るから血塗れですよ高屋敷君?はいあーん」
「んうぐっ!?!ぬむうぐうぐぐぐぐ!!!」
「美味しそうに食べてくれましたね高屋敷君、良い子ですよ」
「おぐうぇっ!!うげおごぉ…!!おうぇええええ!!!」
「おや?吐いちゃいましたか…ではもう一匹、食べてもらいますね」
「もうやめて安西先生…!もうやめて、もう僕頭が…」
「さっさとどうかしてしまえば良いのですよ、軽いおつむがどうなろうと私の知ったことではありません。はい、あ

ーん…」




僕の頭の中で

なにかが千切れる音がした

もう元には戻らない



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「…(バリッ!ゴリ、ガリベキベキクシャ…)」
「…高屋敷君?」
「…なに」
「今日のお昼もそれですか?」
「…仕方ないじゃん、これしか食べれなくなったんだから。これ以外だと吐くんだよ」
「んー…」
「(ぬる…ブチッグチグチュ…ぬち、ぬちっ…ネログチョグチ…)」
「栄養足りてます?」
「足りてる訳無いでしょ?一日三百匹食べても足りないよ」
「……では、明日私も五百匹ほど都合してきます」
「そういう責任の取り方はいらないよ」

ガララ

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