ガララ


「こんにちわ安西センセー」
「こんにちは高屋敷君、それはさて置きこの火の輪をくぐって下さい」
「僕はサーカスの芸人じゃありません!!無茶言うなってかこんなところでそんな火力を扱うな!!」
「もしくぐれたら、ご褒美に君の大好きなプッチンプリンをあげますから」
「命を懸けるほど好きじゃないよ」
「くぐらなければ鞭で打ちのめしますが?」
「ムリムリムリ出来ないよ!!僕が体育苦手なのセンセだって知ってるでしょ?」
「大丈夫ですったら、そんなに高く作った訳でもありませんし。さあ良いから飛びなさいさあさあさあ」
「いやああ押さないで押さないで人殺しー!!」
「人殺しじゃありません業務上過失致死です」
「教師の業務が生徒に火の輪くぐりをさせることだと思ってんですかバカー!!あっちいけ離せー!!」
「生徒の将来の仕事を必死に考えているのではありませんか、さあくぐるのです高屋敷君これが出来ればサーカスで働けますよ」
「いつそんな進路希望提出したんだよあ゛あ゛あ゛近い近い熱い助走がゼロだよ熱いギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
「あ…」
ああ゛がグゴォッッヅア゛ガアア顔が!アツイー熱い死ぬ死ぬーーー!!!
「ちっ…しまった顔を焼いてしまいました…この顔では人攫いに攫わせてサーカスに売られる計画が…」
「それでも進路指導員の考える計画かよ!?どーすんのさ片目潰れた!!顔面片側焼け爛れた!!」
「……鬼太郎、とか…」
「オヤジがいねえよ潰れたっつったろ!?」
「…ガラスの仮面の先生で…」
「僕は元大女優で事故による顔面の怪我の為引退してない!!」
「じゃあもう思い付きませんよ」
「つーか今言ったのどれ一つとして職業じゃねえよ!!ねえそれでホントに進路指導員なのもしかしてずっとウソ吐いてたんじゃ?!」
「はは、高屋敷君たら失礼な事を言いますねえ?もう片方の顔も潰しますか?」
「すいませんごめんなさいもう言わないです進路指導員の安西先生」
「…ちょっと潰してみましょう」
「うおおーいい謝ったよね僕謝ったよ?!なんでそうなるのやめてよいやああ!!」
「ごめんで済めば警察なんて要りませんよ」
「警察を必要としてるのは僕の方ですギャアア鞭振り被んないでグガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!?!




「…二時間鞭で打ちのめした結果、良い感じにもう方顔面の肉が抉れたみたいですが…どうですか」
「しゃへりにくひ」
「?…あ、喋り難い。ですか…まあそりゃそうですよねえケロイドと筋肉削げじゃあ喋れる方がおかしいですよねえふふふ☆」
「……!…!!」
「んー良い表情ですよ高屋敷君、片方しか残っていない眼球で素晴らしい眼光を放ち…ん?」
「…?」
「…!…大変です高屋敷君、先生とても良いお仕事を思い付いてしまいました。これは高屋敷君にぴったりですよ」
「?」
「さあ早速準備を始めなければ、ああ何だかわくわくしてきてしまいました急ぎましょうね高屋敷君今焼夷弾を準備しますからね高屋敷君。」
!?!




―――――――――――――――




「…高屋敷君は、江戸川乱歩の、芋虫という小説を読んだことがありますか?」
「…」
「夫が戦争で手足を無くして妻の元へ帰ってくる事から始まるのですが」
「…」
「物語の前半部分は、単なるエログロなんですけれど」
「…」
「後半にいけば、とても美しい純愛なんです」
「…」
「で、中盤辺りに夫は唯一残っている感覚器官の目玉を、妻に潰されるのですけれど…」
「…」
「夫は物語の最後で、暗闇の中転がっていた鉛筆を探し、柱に『ユルス』と刻むのです」
「…」
「あとはまあ…ネタばれになるので内緒です」
「…」
「ねえ高屋敷君、三年間私の玩具だった君は、私を楽しませる役目に就けば良い」
「…」
「さて、それでは高屋敷君。これから君の耳を潰して、それから目を潰します。鉛筆もそこら辺に転がして置きます」
「…」
「ああ、君は何と刻んでくれるのでしょうね?楽しみにしていますよ、高屋敷君」

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