「高屋敷君、こんな所に居たのですか。探しましたよ」
「あ、安西センセー」
「やれやれ…勝手に家庭科室に忍び込んで…見付けたのが私でなければ、今頃鍋にぶち込まれてポトフになっていましたよ」
「だってー、おなか空いちゃったから」
「それで調理を?」
「うん!でもできた料理がとんでもなくマズくて途方にくれてたの」
「…」
「しかもね一人文な筈なのに、なんかこんなでっかい鍋から溢れ出ちゃったの。どうしよう?」
「しりませんよ。…う、何ですかこれは?油粘土を本物の食器によそってはいけませんと」
「それ、筑前煮」
「………」
「そっちの紫色のがゆで卵で、向こうで火ー止めたのにボコボコいってるのがインスタントラーメン」
「料理下手だとか…そういったレベルではなくなってきましたねえ…」
「そうなの!どうしてかな?昔も下手だったけど、こんなじゃなかったんだよ。変なものになんてならなかったもん


「知りませんったら。ああ、どうやって片付けましょう?」
「あのねー、洗っても落ちないよ。変な泣き声出すだけなの」
「…ねえ高屋敷君、ちょっと君の料理の仕方を見せてはくれませんか」
「え、でもまた変なの増えちゃうよ?」
「それはまあ…また家庭科室に火でも放てば…」
「そう?じゃあやったげるね。なににするー?」
「では簡単なところでグラタンをお願いします」
「うん!じゃあマカロニ茹でてー」
「水が少な過ぎます」
「あれ、そうなの?これくらい?」
「ええ…もはや先行きが不安ですが」
「あとお塩もちょっと入れてー」
「それのどこがちょっとなのですか高屋敷君」
「えー、いつもこんくらいだよ」
「だからいつも失敗しているのではないですか。というか、どうしてそれでお菓子作りは得意なのです…?」
「んで、あとは沸騰したお湯で茹でる!」
「まあそれは合っていますね。……ん?」
「どうかした?」
「コンロの火が…緑…?」
「あ、これ?なんか最近家のコンロも僕の時だけこうなるの!ガス会社さんはなにやってるのかなー」
「……高屋敷君、まさか君…」
「なあに?あ、大変ホワイトソース作んなきゃ!」
「牛乳も黒い…バターも粘液状…ああ、やはりそうでしたか高屋敷君。私のせいだったのですね」
「ふえ?なんの話安西センセ?…あ!どしたのセンセ火ー使ってる時は離れちゃダメなんだよ…どこ連れてくのー!?」


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【…悪魔付き、か】
「ええ、一般人を連れ回すとどうなるか…解かっていない訳では無かったのですが」
「え?え?悪魔?」
【ふん、まあ良い。別段面倒なのが付いてはいない…洗濯機に入れておけ】
「そうします。使用許可ありがとう御座いますね」
「せんたっきってなに?!うわあああどこ連れてくのセンセうぎゃアアアアアア!!?!!


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「お帰りなさい、高屋敷君。乾燥機までのフルコースお疲れ様でした」
「すごい目ー回った…」
「すみません、これからは気を付けますから…」
「別にいんだけどー…ね、それよりさ、僕また料理したんだよ!もう悪魔祓いしたから変なのじゃないよ!センセ食べてくれる?」
「それは勿論、是非頂きたいですね」
「よかったー!はいどぞっ♪いっぱい食べてね!!」
「どれどれ…おや本当ですね、マトモな料理ですよ」
「でしょでしょ?やっぱり僕悪魔が付いてたからヘタクソになってたんだねー!!」
「いいえ、見た目はマトモになりましたが味は最悪のままですよ高屋敷君。このド下手が」
うわあーん!?!ああぁーん!!」
「おやおや、泣かないで下さいな高屋敷君。大丈夫ですよ?君がどんなに料理が出来なくても、私がお嫁に貰ってあげますから」
貰われて堪るかボケがぁー!!!

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