「♪れーとーみかーんれーとーみかーん」
「…何をしているのです高屋敷君?雪を掘ったりして風邪をひきますよ」
「あのね、みかん探してるの」
「みかんを?」
「朝埋めといたのー」
「はい?」
「でもなんか無い。どっかいっちゃった」
「リスですか君は」
「探してー!センセも探すの手伝ってー!!」
「みかんくらい買ってあげますよ」
「ダメー。だって冷凍みかんになってないじゃない」
「あれそんなに美味しいですか?」
「おいしいよ?」
「まあ個人の好みですけれど…目印は作って置かなかったのですか?」
「おいといたんだけど、雪積もっちゃったから」
「やれやれ…スコップあります?」


「…あったー?」
「ありませんねえ…」
「んえー!!」
「男の子が冷凍みかん如きで泣かないで下さいよ」
「だってずうっと楽しみにしてたんだよ!朝からずっとずっと楽しみにしてお昼休みに様子見に行ってまだ固まってないなーって思って雪降ってきてこれでガチガチに固まるなーって嬉しかったのに埋もっちゃって僕すっごく悔しいし悲しいの!!それを泣いて先生に伝えて一緒に共感してもらいたくてない照るのにセンセはどうしてわかってくれないのセンセは僕の事なんか何にも解かってくれてないんだね酷いよせんせいそれでもきょうしなのみそこなった!!」
「…(ドゴチャッッ!!)」
「ゲボロァッ!?!(…ドサ)」
「…今夜は冷え込むらしいですしね…」
「…」
「明日の朝に掘り返しに来ますよ。それまでさようなら、高屋敷君」



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「おはよう御座います、高屋敷君。良い感じに凍っていますね」
「…」
「どれどれ…へえ、冷凍高屋敷君もなかなか変わった食感で良いものですねえ」
「…」
「ああ、そうそう、君を掘り返したら偶然冷凍みかんを見付けたのですが」
「…」
「君を食べ終わったら、ありがたくデザートにさせて頂きますね」

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