「…高屋敷君、いけませんよ」
「……うん」
「絶対にいけませんからね…皆さんに迷惑が掛かります」
「……………うーん…」
「火災報知機がそんなに気になりますか?」
「すごい押したい」
「駄目ですよ」
「ううーん…でもさあ、触るだけならいいじゃん?押さないからさぁー」
「…本当ですね?押してはいけませんよ?」
「うん!!」
「約束ですからね」
「んー…」
「……もう良いでしょう?指を離しなさいな」
「ふ…ふはははは甘いわ!!隙ありだ鳴り響け警報装置内申書なんて知ったことかあ!!!おりゃぁ(ボギッ!!あぎゃわっ!?!!
「ほらほら、だから押してはいけないと言ったでしょう?約束を破るとそうなるんですよ、ふふふっ…」
「指が!指が思いっきりボッキリいった!!なんじゃこりゃあ!?」
「警報装置のボタンをセメダインで固めてあるのです。校内全てそうですよ」
「なんでさイタズラ防止だったらあまりに酷い!指がボッキリ折れた!!」
「別にそういう訳ではありません。ただ単に警報装置を鳴らせないようにしているだけです」
「なんで?」
「だから、警報装置が鳴らないようにです。もしそこにある家庭科室から謎の火が出ても、誰も逃げることが出来ないように」
「…なんで?」
「……先方から、燃やした魂が必要だと言われたので…」
「なんのこと?!…あれ?家庭科室………火…が……!?」
「…ふふっ」
「あああ安西先生が火ーつけたんですね!?うわああ警報装置警報装置…チクショウ鳴らないんだった!!!」
「さあ逃げましょう高屋敷君」
「ってなんで火の出てる家庭科室に入るの?!いやだよ心中なんてしないよ僕!!」
「まだ死ぬ程の火ではありませんよ。それに、逃げ場はここの今しかありません…非常口は皆閉鎖していますし、校内全ての窓は耐熱の防弾ガラスに取り替えてあります。普通の窓ガラスはこの家庭科室だけ…火が回り切ったらもう出られません」
鬼なの安西先生悪魔なの!?
「まあまあ、早く出なければ死んでしまいますよ、高屋敷君☆」


―――――――――――――――



「………」
「んー、良い感じに焼け野原ですねえ。校舎が燃え落ちる程の火力でした」
「…臭い」
「おやおや、可哀想に」
「もっと別な人達を可哀想と思ってよね」

『計画実行お疲れ様です、安西先生』

「ああ会長君。首尾は上々でしたよ…で、先方からの人数は達成出来ました?」
「ねえさっきから先方ってなに?どうせろくなのじゃないだろうけど」
『いいえ、今年は優秀な人材が多いものでして。かなりの人数が脱出に成功したようです』
「ふうん…喜ばしいことですが、今回は面倒ですねえ……何人足りないのですか?」
『不足は一人です』
「一人?」
『はい、あと一人で』
「…一人、ねえ…」
『……』
「……」
「え?ちょっと、なに僕のこと見てるの?ねえ、ちょっとなんで灯油缶持ってるのなんでチャッカマン持ってるのう

わあああやめてやめてあっぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!

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