ドンドンドン!!


「安西センセー!誕生日おめでとぅー!!おめでとうだからここ開けてー!!」
(「…高屋敷君ですか?…本当に?」)
「ホントだよ僕だよー!大丈夫だよ尾行もまいて来たから!」
「……」

ガララ

「あ、開いた開いた」
「早く入って下さいな高屋敷君、奴らに押し入られたら事です」
「奴らって…仮にも誕生日プレゼントくれようとしてんだからー」
「もう自宅は法的に不味いプレゼントで満杯なんですよ…この進路指導室が唯一の安楽の地で…」
「う、うん………あ!そだ僕ケーキ焼いてきたげたよ、食べよ?」
「………」
「大丈夫だよ毒入ってないよ!そんなにじっと見詰めなくていいんだよ!?」
「…媚薬は」
「入ってないから大丈夫!!」
「では頂きます」
「どぞっ♪」
「ガトーショコラですか…流石高屋敷君、私の好みをよく知っていますね」
「もっと偏執的に安西先生の好みをよく知っている人が窓の外に八人いるけどいいの?」
「防弾ガラスですから」
「ふーん…あ、それでねセンセ?ケーキだけじゃ形に残んないし、なんかプレゼントあげたいけどなにがいいー?」
「………」
「それは僕が欲しいと言いたいけど言ったら窓を開けられそうだと考えてる沈黙だと思って合ってる?」
「よく解かりましたねえ」
「やらん!絶対やらんからな!!一昨年ぶっ殺されて去年セクハラされてもう絶対にやらんぞー!!」
「娘を嫁に行かせたくない父親みたいなことを言わないで下さいな、高屋敷君…良いじゃないですか、どうせ死んだってまた生き返るんですから」
「なんの事か全然解かんない。僕生き返らないよ死んだら死んだままだよ」
「自覚が無いとは…」
「いいから僕は諦めてー。僕は売血行為も抱き枕も嫌ですー」
「本当に先っぽだけですから!」
「三年間で一番最低な口説き文句だな!?」
「だって高屋敷君たら、甘ったるい口説きで落ちてくれたことがないんですもの…ダメ男が好みなのかと」
「男の時点でダメだね!!」
「じゃあ今年は何にしましょうかねえ〜」
「もっとさあなんかあるじゃん?セーターとかマフラー欲しいとかそんなのないの?僕最近母さんに編み物習ったんだし、今からだと遅いけど編んだげるよー?」
「昔貰ったセーターに髪の毛が編み込まれていて、知らずに着た私は肌が切れて血だらけになりました」
「…ごめんなさい」
「良いんですよ、高屋敷君」
「あーあ…じゃあ結局僕センセにプレゼントあげらんないじゃん…僕お祝い好きなのにー」
「ねえ高屋敷君、だから私は君が欲しいと言っているのです」
「ふえ?なんで?」
「私に邪な事を考えない君という存在が欲しいのです。どんな人でも、私にあらゆる欲望を抱くのですよ…氷室さんだって私に人形の役割を求めますし、会長君だって私を偶像として見ています。彼等ですらそうならば、俗な人間が私をどう見ているか位…君にも解かるでしょう?」
「…ん…」
「けれど君だけは私を素直に見てくれます…だから、そんな君の事が欲しいのです。…駄目ですか?」
「あ……安西センセー!!可哀想です安西先生僕センセと一緒にいてあげますよー!!」
「本当ですか高屋敷君…とっても嬉しいです」
「うん!だから泣かないでね」
「泣いたりしませんとも。君を思い通りに出来るとなると私は頬が緩んで緩んで涎が出てきそうです」
「え…」
「先っぽだけですから…」
「止めろ得ろ教師!!…あ、ちょ、なに僕の指齧ってるの先っぽってそういう事!?」
「全部の方が良いですか?」
「よくねーよ食うなよ食人教師!」
「ん?よく考えてみれば君に了承を得ると言うのはおかしいですねぇ…君はもう私の物なんですから」
「あ…ああ…!お願いやっぱり返して、僕のこと返して!!」
「嫌です、絶対に返しません。ふふっ…さあ、何をしましょうか…?」
「いやぁ!いやあ返して!!僕を返してよー!!」
「取り敢えずバニーコスですかね☆」
「邪なのはセンセじゃんかあああいやあああああーーーー!!!

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