ガララ


「こんにちわー安西先生。…あれ?いないのセンセ?」
「(ガララ)おや、来ていたのですか高屋敷君。これからカニ鍋をやるつもりですが君もどうです?」
「え、カニ大好き!!ってうわあなにその量!?しかも生きてるじゃん!」
「タラバ花咲毛ガニ…その他諸々アブラガニまで取り揃えてありますよ」
「…なんでセンセびしょ濡れで、髪とか一部凍ってんの?」
「そろそろ流氷が…」
「何か今日はアグレッシブだねセンセ」
「そうですか?まあ良いです、早くカニ鍋の準備を始めましょう」
「はーい」
「ええ、と…確か鍋は…」
ぎゃああカニがカニが攻撃してくるよー!!
「ん?…カニに負けるとは、高屋敷君たら本当に人以下ですね」
「いいから助けて!頚動脈ハサミで狙ってるよこの花咲ガニ!!
「はいはい…(ドグチ!)」
「くっはあ怖かったー!もうやだ活カニ怖いー」
「くっ付かないで下さいな、頗る邪魔です」
「だってー」
「大丈夫ですったら。ほら、もう皆お湯に叩き込みましたよ」
「わー、地獄絵図だね」
「涎が出ていますよ、高屋敷君」

―――――――――――――――

「…まだー?まだ茹で上がんないの?」
「さあどうでしょう…小ぶりのものを食べてみましょうか」
「うん!はやくぅー!!」
「今解体してあげますよ。熱いですから、君は触ってはいけませんよ」
「んー」
「…あ、殻を切る用の調理バサミが要りますねぇ…高屋敷君、確かそこの棚に入っていた筈ですので…」
「んとぉ…これ?」
「ええ、それです。二つあります?」
「あるよー」
「そうですか。……ん、これくらいバラせば良いですか」
「わーい!食べていい?!」
「どうぞ、怪我をしないようにして下さいね」
「うん!えへへ、僕カニ大好きですよぅー!センセはなにガニが好き?」
「そうですねえ…身の大きなタラバガニも良いですが、味の繊細な毛ガニが一番ですかねぇ〜」
「ふぅーん。んーとね、僕はねー…うーん…カニならなんでも好き。カニカマも好き」
「そうですか」
「うん!」
「…高屋敷君、毛ガニ以外は棘が危ないですから私がやりますよ」
「ありがとー」
「身も出してあげますよ。さっきからカニの汁で制服をべたべたにしているみたいですし」
「ありがとー!」
「…ところで…高屋敷君は、ミソは好きですか?」
「カニ味噌?ううん、あんま好きじゃないですよぅ」
「そうですか…勿体無いですね、そんなに沢山持っているというのに」
「持ってる?なんのこと?」
「たっぷり詰まっている訳ではなさそうですが、少し惚けた味もまた良いものです…」
「…なに?なにその植木バサミ…?」
「勿論、身の方もしっかり食べてあげますから…ね、高屋敷君?」
「い、いや…いやあああぁぁぁーーーー!!?!







パキン…パキ、パチン……クチュッ…ピチャ………

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