「高屋敷君、君の進路の事なのですが…」
「…そういやもう十二月なのになんにも決めてないや…安西センセと遊び呆けてばっかりだ…」
「だからこうして話をしているではありませんか。先生、君に合った職業を探してあげましたよ」
「そうなの?ありがとー。どんなの?」
「魔法少女なんてどうですか」
「ああなにから否定しよう!?とりあえずセンセの思考回路を否定しておこうかな!!」
「失敬な子ですねえ、これでも真剣に考えて出た結果ですよ」
「…病院行こっか?」
「風邪なんてひいていませんよ」
「心の風邪だと思うけど。って言うか冗談やめてよね!まず少女の時点で間違ってるでしょ!」
「…そうでしたっけ?」
「このっ…!!」
「まあ良いではありませんか、試しに一日職業体験をしてみましょう」
「ねえ魔女っ子が職業なのかも論点の一つなんだけど…聞いてんの安西センセー!?」


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「…ん、着替え終わりました?」
「着替えたけど…ね、なにこのロリロリながら黒魔術師っぽい格好?」
「だって私の得意分野はそっち系ですし」
「やだよそんなの最悪だよ」
「妖子ですね、黒魔術少女サディスティック妖子」
「得ろゲじゃん」
「♪子ー供とかー言ーうのはーこーの口なのかー?女王様ーとー御呼びーぶっこーろすわよー☆」
「歌わなくていいよ。もうヤダこれ脱ぐ脱がして!」
「では高屋敷君、不肖私使い魔として働いて差し上げますので、これから宜しくお願いしますね。下らない事に使ったら殺します」
「そんな使い魔やだよ。つーか聞けよ!魔女っ子なんてやんないったら!!」
「魔女っ子といえば魔法のステッキですよね。さあどうぞ?」
「え、いらな…ってホントにいらねー!!なにこれ血みどろじゃん!?」
「チミドロドクロステッキです。撲殺天使ドクロちゃんを見ながら練成したらこんなになってしまって笑えました」
「触りたくない!触りたくないのに手から離れないー!!」
「あ、魔法の呪文は何にしましょうか」
うわーうわー!!このドクロなんかカタカタ笑うんだけどうわー!!
「え、『うわーうわー!!このドクロなんかカタカタ笑うんだけどうわー!!』が良い?センスがゼロですねえ高屋 敷君」
「違う!!もうなにこれメチャクチャだよー!」
「成る程、キメ台詞は『僕をメチャクチャにしてくださいっ!』?そのセンスはなかなか秀逸だと思いますね」
「バカー!!もうホントバカー!!」
「まあ呪文は後でも良いですね。早速街に出て悪い敵をやっつけましょう、魔法少女智裕君☆」
「こんなカッコで外出たくないよ!ちょ…なに引き摺ってんのさうわあいやだぁー!!


―――――――――――――――


「…という訳で街に出た訳なのですが…」
「いやだって言ったのに…使い魔ならいうこと聞いてよ…」
「まるで誰かが仕込んだかのように素敵に巨大な敵が街を破壊していますよ高屋敷君。さあ早速魔法で戦いましょう!」
「…あれ、うちのガッコの地下で飼ってた奴でしょ」
「はい?何の事だかさっぱり解かりませんねえ」
「仕込んだんだ…」
「嫌ですねえ、仕込んでませんったら」
「もういいや…さっさとやっつけて帰ろっと…魔法使えるみたいだし勝てるでしょー。…あれ、安西センセ?どこ?(チュドオォーーーン!!!わぎゃあなになになにー?!
「高屋敷君、魔法少女の癖にぐずぐずしないで下さいな。君がのろまな魔女っ子なのでこの使い魔たる私がもう半殺しにしてしまいましたよ」
「ええー僕の出番無いじゃん!」
「いやいや、最後の止めは君でなければ刺せないのです。弱らせてあげたことですし、さっさと一撃でやっちゃって下さい」
「え、あ、うん。えーと、どうやって使うのかなこのステッキ」
「今です高屋敷君!魔法の呪文『安西先生、僕をお嫁さんにしてください!』を唱えるのです大声で。さあっ!!」
セクハラとパワハラを同時に行うな!!
「その台詞以外では魔法が発動しないように設定しましたよ今し方」
テメーもうマジで死ねー!!
「ほらほら、早くしないと君の方こそ死んでしまいますよ〜?」
「ホンット性格悪いなあ…!あーもーいいや二度と言わないからね!?」
「一度で十分ですよ、もう結婚指輪なら用意が
「うるせえ黙れバカ教師!!」
「早くしないと死にますよ」
「っ…くあああ安西先生、僕をお嫁さんにしてくださいぃーー!!



ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!



「…へえ、なかなか思い切りが良いですねえ…本当に一撃で倒せるとは」
「あー口ん中気持ち悪い!!早く帰ってうがいしたい!帰るよ安西センセ!!」
「はいはい。…で、どうでした?魔女っ子職に就く気は?」
「出る訳無いじゃん…絶対ヤダ。他のにして。絶対!」
「おや、そうでしたか?…んー…とするならば、もう一つ候補が…君も乗り気のようですし」
「え、なんかあったけ?なに?」
「高屋敷君、私の所に永久就職をしませんか」
だからさっきのは仕方なく言っただけだボケー!!

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