「…高屋敷君、何を読んでいるのです?」
「これ?あのね、図書室で【誕生日辞典】ってやつ借りたんだけどー、僕の誕生日十一月十二日はーなんかセクシーな人が多いんだってー」
「セクシー?その幼児体型でセクシーとはおこがましい」
「むうっ!言っとくけど、センセの誕生日なんか堅実な人間になるのはムリとか書いてるんだからね。この遊び人ー!」
「な…!何て腹立たしい本を読んでいるんです君は?まあ占いに頼るような人間なんて大した器に成りゃしません。精々オーラの泉でも泣きながら見てなさいな」
「なんで本一冊読んだだけで将来の器まで否定されるのさ!第一黒魔術師のセンセに言われたくないよバーカ不審者ぁ!!」
「このクソガキ!そんな女顔だから下らない占いにハマるのでしょうねえ?」
「人のこと言えんのこの女装癖!教師失格のくせしてなにさー!!」
「痛っ…くはありませんが目上の人間に手を出すとは、全くロクな人間じゃありません。躾け直してくれますよ馬鹿ガキ君!」
「放せ放せー!宙吊りやめろ降ろせー!!」

ガララ

『失礼致します、安西先生。……取り込み中でらっしゃいましたか?』
「おや会長君。ちょっと待っていて下さいな、このアホガキを窓から放り出したら報告を聞きますのでね」

「放り出されてたまるかっ!生徒会長この暴力教師なんとかしてよー!!」
『失礼ですが、お二人は何故喧嘩なさっているのですか』
「あのね!僕の誕生日はセクシーな人が多いって言ったらセンセがバカにしてー」
「そうしたら高屋敷君が、私の生まれの日は堅実な人生を歩めないとか言いだしまして」
『成程』
「どう考えてもケンカ売ってきたの安西先生だよね?!怒ってよー!!」
「それよりも目上の人間に手を上げた事の方が悪いに決まっているでしょうが。会長君、少しは君の畏敬精神をこの低能に教えてあげて下さいな!」
『はい、安西先生。ですが、その前に一つ言わせて頂きたい事が』
「?」
「何です?」

『お二人に誕生日が御有りでも、俺達端役には誕生日おろか、名前すら決まっていません』
「…」
「…」




「…すみませんでした」
「ごめんなさい…」

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