ガチャコ


「おはよーございます安西センセー…」
「ん?…高屋敷君、どうしてまたわざわざ私の自宅まで?」
「だって……あのさ…学校に行ったら学校が無かったんだけど……なんか、あったの…?」
「ああ、あれですか。いや〜学祭の片付けが面倒くさくて」
「ウソだー!絶対ウソだー!!一体何やったの?!どんな暗黒の儀式であんなクレーター作ったの!?」
「それ以上のお喋りは止めましょうね高屋敷君。死にたいというのならば止めはしませんが」
「今日はいいお天気だね安西先生」
「ええ、本当ですねぇ。…それはそうと高屋敷君、お誕生日おめでとう御座います。冥土の旅への一里塚」
「ふえ?…あ、そうだった!忘れてたー!!」
「去年は電話でしかお祝いさせてくれなかったですものねえ」
「だってなんかセンセが変な人に付き纏われてるんだもん!もう僕去年の幸恵さんでピーターパン症候群になりかけたんだからね!?」
「そうなのですか?…ふうん…じゃあ丁度良かったですね。責任を取って貰いましょうか…彼女に、ね」
「へ?…いいいイヤですよ僕会わないからね!?」
「んー、でももうここにいるんですよ。ほら、あの戸棚の中」
「あの…って、あんな狭いトコに?いくらなんでも非人道的なくらい狭いよ?」
「まあまあ、良いじゃありませんか。さあご対面ですよ〜(ガチャ)」
「やだやだ嫌だって言ってるでしょ!!……え?」
「久しぶりですね幸恵さん、もう一年ぶりにもなりますか…さあ、高屋敷君にご挨拶して下さいね」
あぎゃあああああ腐ってるー!!!?!
「おや本当ですね腐っています。いつの間に」
「気付けよ!!嗅覚ねえのかアンタっ…おべげええええ…!!」
「拭いておいて下さいね」
「胃まで吐きそう…って言うか嫌だよ腐乱死体が初めての相手なんて!!」
「腐乱すると乳房が膨らむんですよね。男性だと陰茎が膨らむんですが…DからF位にはなったと思いますよ、ガキな高屋敷君は巨乳派でしょう?さあどうぞ、彼女を襲ってチェリーな男の子から立派な男に生まれ変わるのです」
聞けよ!!嫌だつってんだろ!!あんたそれでも教育者か!?」
「あれ、嫌でした?じゃあ私が立派な女にしてあげましょうか?」
「それもやだー!!」
「高屋敷君たら、もう18歳として大人の仲間入りをした早々から我侭を言ってはいけませんよ。あれもいやこれもいやでは先生、どうすれば良いのか分かりません」
「わからなくていいよう!僕もう帰るー!!」
「あっはは嫌ですねえ高屋敷君たら、この私がみすみす君を逃がすとでも思いましたか?扉はもう開きませんよ」
「うわああホントだ開かない!つーか取っ手が無い!!
「それじゃあ君の為に張り切って誕生日のご馳走を作ってあげますね。丁度食材が転がってますしねぇ」
「ダメだよそれ腐ってるよ!?いやそれより人肉なんて食べたくないよ僕ー!!」
「肉は腐りかけが美味しいので大丈夫です。何が良いですか高屋敷君?ビーフシチュー?白人女性の太腿は仔牛の味がしたそうですがアジア系だとどうでしょうねえ?」
「助けて出して助けてー!!もういや毎年こんな狂気に晒されるのはもう嫌なのー!!」
「残念ながら今年はその狂気に君も巻き込まれることと相成りました。残念ですねえ、本当に可哀相です…ふふふっ」
「そう思うならこっから出してよ!!」
「ビーフシチューはバスタブで作っているので少々時間が掛かりそうです、先にケーキを食べていましょうか?」
「出せっ!!」
「分かりました、出してきます」
ケーキを冷蔵庫からじゃなくてー!!
「あ…蝋燭を買ってくるのを忘れていましたねえ…」
「ホント?それは残念だね安西先生!仕方ないからまたの機会にまわそっか!じゃあ僕帰るねオゴッ!?!
「そうはいかないと言ったでしょう高屋敷君…?困った子です、もう殆ど大人の仲間入りだというのに…」
「いた…!?なにこれ!やっ…外してよなにこれ?手錠…?外してよ!!」
「ハッピーバースディ高屋敷君…蝋燭の代わりに君の指を、18本潰してあげましょうね…」
「ひ…ぁ…ああ……あああ…!!!」
「おやおや、血の気が引いて本当の蝋みたいですねえ?ああ細くてなんて可愛らしい指でしょう、幾つになっても可愛いままですねぇ」
「お願い許して…殺さないで…」
「……ねえ高屋敷君?君は今日で、男の子でも結婚出来る年になりましたねぇ?」
「え…?」
「もう明かりの点いていない部屋に帰って来るのは嫌なのです。君がこれから私の帰りを待っていてくれると言うのなら、生かして置いてあげますよ」
「そ、そんなのムリに…うあガァァツ!!ァああっ!!いやだ許してぇもう許してえー!!」
「ええ勿論、許してあげますとも…君がこの結婚届にサインをしてくれるなら、ね」
します!!サイン書きますかきますからア゛ア゛ア゛ア゛ァァァーーー!!!
「そうですか?やっぱり君は幾つになっても良い子ですねえ高屋敷君。それじゃあ、お家に帰してあげますね」




―――――――――――――――





血文字でサインとハンコをさせられて

家まで車で送ってもらった


「それではまた明日、高屋敷君」


にっこり笑って安西先生は

車に戻って帰ろうとする

この距離なら家に逃げ込める

今しかチャンスは無いから

落ち着いて


おっきい声で

聞こえるように

はっきりと





「安西先生!僕やっぱり安西先生とは結婚
「出来る訳ないじゃないですか、男同士で」




ガチャバタン!…ブロロォー…ン………


……

………



ああああのクソ教師覚えてろよーーーー!!!?!

 BACK