学院祭二日目

安西先生探しです

何が何でも探さないと

僕の人生がとんでもないことになりそうです

動物は好きだけど

そういう動物好きじゃないんです

もう僕疲れてきちゃいました


あ、一人発見

…?…

発見したけど

なんか、変


「あのぅ安西先生…の、作り物、だよねえ…?」
「はい、私は服のセンスが違うだけの安西聡美ですよ」
「…それ以外の違いは?」
「ありません」
「…」
「どうします?」
「…スウェットかあ…ギリギリ……アウトかな」
「駄目でしたか」
「ちょっとね…」
「それは残念」
「ごめんね」
「気にしなくて良いのですよ。本物探し、頑張って下さいな」
「あ、その事だけどー…なんかいい情報ないですかー?無闇に探すとこの学校広すぎて。疲れちゃった」
「んー…本物かどうかは判りませんが、校舎裏の方に歩いていく安西聡美を見かけましたよ」
「そうなの?見た目は?」
「少なくともスウェットではなかったですねえ」
「そっか…じゃあ行ってみよっかなあ」
「それが良いと思いますよ。行ってらっしゃい」
「うん。いってきまーす」


―――――――――――――――


ふう

いっぱい歩いて

やっと校舎裏に着きました

なのにセンセは見当たらないです

もっと奥かな?

でも

二日目にして本性を現したうちの学校

暗がりの校舎裏は

死体で足の踏み場ないです

校舎内とか校門付近とかの明るいとこは

まだ一般的な学祭っぽいんだけど

明日にはもうダメだろうなあ…



「あーあ…いないなあウォーリー…じゃなくて安西先生」
1「居ますよ此処に。大量にね」
「え?ってホントに大量に居る!!怖いし気持ち悪い!!」
2「気持ちが悪いとはまた失礼な」
「だってキモっ…何人居るの?っていうかなんでそんなに集まってるの?本物居るの?」
3「数えてないので分かりません」
4「校舎裏は治安が悪いので、監視にね」
5「調べていないので分かりません」
「誰か代表で喋ってくんない」
「では私が」
「見やすくなってよかった。…んで、結局本物の安西先生どこにいるの?」
「さあ…居るかどうかも解かりませんけれど、高屋敷君探してみます?」
「やだな…こんな羊の群れみたいな中探すの…」
「ははは、嫌ですねえ高屋敷君たら。この私達を羊に例えるとは下手な比喩にも程がありますよ」
「え?」
「そう、羊とは君の方…怖い狼の群れに迷い込んだ、可愛い可愛い子羊君?」
「……え」


後退り、振り返って逃げようとした

でも僕は既に囲まれていて

いつも以上にニヤニヤ笑った安西先生達は

いつも以上に吊り上がった唇から

鋭い犬歯を覗かせている

僕が羊男で

安西先生達は狼男

まだ月は出ていない筈なのに

欠けてなければ太陽でもいいの?


「本当に高屋敷君は可愛いですねえ」


一人の安西先生が一歩近付く

一歩下がったら

別の安西先生にぶつかった


「本当に高屋敷君は可愛いですねえ」


そのまま腕を掴まれ

動けなくされて

ぐるり囲んだ安西先生達に晒される


「ああ、高屋敷君、君は本当に本当に…」


いや

いや

助けて

それ以上言わないで




「本当に本当に…美味しそうですねえ」




僕が食べ物で

安西先生達は美食家




うわああなんでサディストなところだけは全員共通なんだよ馬鹿教師ー!!

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