「安西センセー」
「…ん?ああ高屋敷君。売り子は交代ですか?」
「うん、僕の出番は明日まで無いです」
「そうですか。では、行きましょうか」
「ねー出店でカクテルとかビールとか、お酒売ってるよ。いいの?」
「ああ、あれは囮ですよ」
「ふえ?」
「父兄以外が購入したらその場で射殺します」
「ああ…通りでお店の前に屍累々…」
「外して良いハメと外してはいけないハメがあるのですよ、高屋敷君」
「はあ…」
「因みに、例え父兄であっても過度に飲むような人間にはメチルアルコールを血管に注射しますよ」
「失明するじゃん!って言うか死ぬじゃん!!家族が可哀想!!」
「ふふ。未成年の飲酒なんてねえ高屋敷君、単なる格好つけたいだけなんですよ。法律破ってる俺カッコいい!!な ーんて、あっはは可愛いですねえ〜」
「…こんな大人もいるんだよなあ…」
「嫌ですねえ、私は微笑ましくて好きですよ?煙草につけても中高生がお父様のマルボロにちょっと手をつけて、自 室でこっそり吸ってみたら酷く噎せる。可愛いじゃあありませんか。ただ、未成年の内に喫煙を始めるとメンソール 系に限らず血流の流れが阻害されるので結果として陰茎の発達が著しく悪くなるのですが彼らはそれを知っていて一 日に三箱とか自慢しているんでしょうかはははは」
「あー聞きたくなかったあー忘れたい忘れたい!!」
「ふふふ…高屋敷君の方がもっと可愛いですけれどね?飲酒も喫煙も下ネタも嫌いな純粋で可愛い可愛い生徒です。 さあ、リンゴジュースでも飲みなさい」
「え、オゴり?!」
「そりゃあ社会人ですから」
「やったー!!あのねーもうお昼だしー僕たこ焼きとフランクフルトと焼きソバとカキ氷とお好み焼きとあといっぱ いも食べたいですー!!」
「んー…面倒臭いですねえ…お小遣いあげますから、買ってらっしゃい?私はここで座って待っていますので」
「うん!センセは?センセはなに食べる?」
「君が買ってきたのを摘ませてもらいます。…ビール買ってきてくれます?」
「え、でも銃殺される…」
「私の免許証を渡しておきますから」
「これ見せればいいの?うんわかった、いってきまーす!!」
「はい、行ってらっしゃい」


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「センセー」
「高屋敷君。随分早かったですね」
「ううんちがうの安西先生、あのね、出店どこも込んでるの。だからねお酒先に買って来たから、これ飲んで待って て?」
「ああ、そうですか…」
「じゃあね、ちょっと待っててねー」


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『おい安西』
「おや、相模先生。校内巡回ご苦労様です」
『お前何を父兄の前で酒飲んでんだ?ああ?』
「これ実は入ってるのは麦茶なんですよ」
『ざけんな。俺が騙されると思うのか?』
「思いませんねえ」
『没収だ』
「えー…?」
『問答無用』
「あ…相模先生たら没収とか言っておいて、自分で飲んでどうするのですか」
『ぬるいな』
「聞いてます?…ああ……行ってしまいました」
「ただいま安西センセー!いっぱい買ってきたよー…?どしたのがっかりした顔で?」
「お酒を取られました」
「誰に?」
「相模先生」
「たこ焼き食べる?」
「食べます」
「はいどーぞ」
「ん…」
「元気出して安西センセ…そだ、ご飯食べたらどこいこっか!」
「666教室へ」
「え」
「666教室へ」
「…ホントに行くのー?だって、三日目に開放って言ってたのに」
「実は、昨日666教室の扉が何者かの手によってぶっ壊れてしまいましたので、実質今日から開放になったのです 」
「誰が壊したの?」
「私です」
「わざとでしょ」
「よく分かりましたね」
「分かるよ」
「じゃあ行きましょうか」
「えー?」
「言うことを聞かなければ殺します」
「あんまりだよ!!…ってあ、ちょ…待ってよ安西センセー!!」

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