ガララ


「こんにちわ安西センセー♪」
「こんにちは高屋敷君。今日も良い天気ですね」
「夏みたいにあっついねー。だからね、あのね、アイス買いに行きたいから車出して?」
「車ですか?すみません、今日は車で来ていないのですよ」
「ふえ?そうなんですか?そういえば朝も遅刻したって聞いたけど何かあったの?」
「ええ、客の所に行っていたらうっかり朝帰りで…」
「聞かなきゃ良かった」
「なので珍しく電車で来たのですが、途中電車で飛込みがあって…生首が飛んできました」
「おげ…」
「美人だったので持って来ましたけれど、見ます?」
「見ないよ!!美人でも見ない!」
「轢断の衝撃で飛んできた美人な生首とキスなんて、朝から幸先が良いものです。婚約者にでもしたいくらいですね」
ちょっと待てさっきよりグロい事実言ってない?!なんでそれでトラウマにならないの!?」
「ネクロフィリアの気があるんです」
「ぶっちゃけた!!」
「まあそれはさて置きそろそろ学院祭が始まるのですが、準備の方は進んでます?」
「あ、そうそうそれ!えへへ、今日のお昼休みも皆で会議したんですよー」
「高屋敷君のクラスは、模擬店で何をやるのですか?」
「うーん…それがまだ決まってないんですよぅ。喫茶店とかお化け屋敷はつまんないしー…」
「そうですねえ、四階の999教室は天然のお化け屋敷として開放する予定ですしね」
「ええ?!開かずの間の999教室がついに!?絶対行かないけど!!」
「一度入ると二度と出られないので、客を減らさないよう三日目に開放しようと思っていますよ」
「ところでうちの学校に開かずの間って何個あるの?」
「さあ、数えたことがありませんので」
「まあ良いけど。入んないから…ねえ、センセはなにやればいいと思う?ありきたりじゃやだからさー」
「そうですねえ、私としては高屋敷君に悪戯出来るようなものなら何だって良いのですけれど」
「それだけはイヤ」
「残念です」
「ねえちゃんと真面目に考えてよぉ!僕達マトモな学院祭するの初めてなんだから」
「あーそうですねー…メイド喫茶もありがちですしねえ」
「日本はどこに行くんだろうね」
「お花屋さんとかどうです?可愛いですよ」
「なんで学校に来てまで花買うのさ。需要が無いよ」
「そうですか?私は是非買いたいですけれども」
「どうせ食虫植物でしょ、安西センセが欲しがるのって」
「よく分かりますねえ高屋敷君。伊達に三年近く虐め倒した訳じゃないですね」
「だって理科室がすごいでかいウツボカズラとかでとんでもない事になってるじゃん。マイブームだからって学校を私的空間にしないでよね」
「ですが学校だと餌に事欠かなくて…」
人か!?人だな!!生徒をペットの餌にするなっていつも言ってるのにー!!」
「あっはは。まあ良いじゃありませんか。今は高屋敷君のクラスが学校祭で何をするかについてですよ」
「露骨に話逸らした…まあいいや、なんかアイデアあるの?」
「ええ、たった今とても良いことを思い付きました。お菓子屋さんはどうですか?」
「ああ!それいい!!僕お菓子作んの大好きー!!」
「君のクラスは調理実習で大成功していましたし、女子高生が作ったお菓子はそれはもう飛ぶように売れる事間違い無しです」
「うん、根幹的な所はメイド喫茶となんら変わらないんだね」
「男子には作らせないで下さいね。イカ臭い手で作られては堪ったもんじゃありませんので」
「性差別!性差別だよ安西先生!!」
「何を馬鹿な、私は高屋敷君が作った手作りケーキを食べたいですよ。…あ、高屋敷君は女の子でしたのでフォローになっていませんでしたね。うっかりしちゃいましたははは」
「わああ久しぶりに女顔を馬鹿にされた!ちょっと懐かしいけどやっぱりムカつく!!」
「君の皺が足りない脳みその代わりを務めてあげた御代ですよ。暇潰しにもなりませんでしたがね」
「むー嫌味ばっかり言うなあ…でもいっか、お菓子やさん楽しそー!まだ皆教室に居るし、教えてきてあげよっと♪じゃーね安西センセ!!(ガララバシャン!)」
「はいはい、いってらっしゃいな…」





『…失礼致します、安西先生』
「おや、会長君…どうしました?」
『現段階で学校祭にどれだけの人間が集まるかを、試算した結果の報告に来ました。これを御覧になって下さい』
「………ふうん…まだまだ足りませんねえ」
『申し訳ありません、安西先生。しかし勿論現段階での結果です。各クラスでの動きが定まれば、この限りではないと思われます』
「成程。…解りました、学校長には私から報告しておきます」
『ありがとう御座います、安西先生』
「ああ、高屋敷君にも頑張って貰わなければね…精々多く客を呼び込めるよう、裏から操作するつもりです」
『我々生徒会員も、より多くの人民を校内に誘導するよう努力します』
「それでこそ我が学院の生徒会です。学院の為に力を尽くしてくれる事…期待していますよ?」
『はい、安西先生。総ては我が【私立挫賂眼学院高等学校】の為に』

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