安西先生に泣きついて宿題を片付けて

何とか新学期を迎える準備が整いました

そんな感じで登校したんだけど

変だなあ、なんか普通に授業が始めてる

始業式は?



「あ、生徒会長だ!カイチョーおはようございますー」
「お早う、高屋敷君。小言で悪いけれど、新学期早々十日も休むのはよくないな」
「え?だって夏休みは31日から…」
「北海道の夏季休暇は20日から始まるのが基本だよ」
「…え?」



ガララバシャーン!!


安西この野郎ー!!
「おやおや高屋敷君、そんなに乱暴に開けては扉が壊れてしまいますよ」
「よくもよくもよくも騙したなー!!なに考えてんのさどうしてくれるのさー!?」
「本州に滞在していたので、本州タイムで良いかと思いまして」
「在学してるのは北海道の学校だよ!どうすんのさ僕の出席日数!!」
「書き換えておいてあげます」
「…実力テストは?」
「勿論オール100点に☆」
「………ダメダメダメやっぱダメ!!インチキは僕キラいですー!!」
「いま少し考えたくせにねえ」
「ほ、ほっといてよ!…うー…もうどうすればいいのさー…ただでさえ僕センセのせいで出席危ないのにー…」
「ああ、泣かないで下さいな高屋敷君…インチキが嫌ならこうしましょう。再テスト」
「ふえ?いいの?」
「ええ、再テストの生徒は他にも何人かいますしね。一週間後に始まりますから、それまでの間この私が教えてあげましょうとも」
「ホント!?ありがと安西センセー!!」
「ですが高屋敷君、再試は例え百点をとっても八十点の評価になってしまいます。生半可な気持ちでは、赤点になってしまいますよ」
「あう…だ、大丈夫!僕頑張ります!!」
「では早速始めましょう。良いですか高屋敷君、まずカンニングペーパーは薄手で音がし難い物を…」
なにを教えてるの?!ねえなに言ってるの!?」
「?…カンニングの方法ですが…?」
「うわーんインチキは嫌って言ってるのにー!!」
「んー…けれど今回は、カンペがないとほぼ全員0点だったのですがねえ」
「なんで?!うちそれなりにレベル高いけど何があったの?」
「東大理Vの過去問を出してみました」
「だからなんで?!」
「だって教員は一週間も休みがないのに、生徒は一ヶ月近くあってムカついたんですもの。なので教員全員で共謀してやっちゃいました☆」
「鬼かアンタらは!!」
「教師ですよ」
「うう…もういい…カンペの作り方、教えて…」
「おやおや、君も結局悪の道を選びましたか」
悪はアンタら教師の方だよ!!


―――――――――――――――


そんな訳で再テスト開始なんですけど

よく考えたら、カンペあっても問題解けるのかな

だって東大問題だし

それにさあ



「なんで安西先生が試験監督なのさ」
「さあ、どうしてでしょうねえ」
「意味なかったじゃんか。あんなに頑張ってカンニングの仕方勉強したのに。カンニングの映画も見たのに」
「んー…何か勘違いしていませんか高屋敷君?」
「え?」
「君は生徒で、私は教師…教師が生徒のカンニングを見逃さないとでも?」
「…へ?」
「せいぜい私の目を盗むことですねぇ高屋敷君。もちろん見付けたら全教科赤点ですからね」
「この悪魔がぁー!!!」
「あっはは!チャイムが鳴りましたね。試験開始ですよ」
うわーん!!




「…おやぁ〜?…高屋敷君、どうもさっきからスカートの裾を気にしてるみたいですねえ〜?」
「っ…そ、そんなことないです。集中してるから話しかけないでください」
「ふぅん?ところでねえ高屋敷君…スカートの裏にカンペを貼って盗み見るのは常套手段ですよね?」
「……そうかもしれないですね。話しかけないでください」
「セクハラになるから、確認されることは殆どないのですけれど…私と君の間でセクハラなどスキンシップの一種でしかないと思いませんか…?」
「思わないです。話しかけないでください」
「んー…なかなか強情ですねえ高屋敷君。……でも、汗で膝にインクが滲んでしまっていますよ?」
「?!」
「隠してますよね?カンニングペーパー」
「…隠してません」
「おやおや、言い張りますか。では、見せて貰いますよ」
「見せてもいいですけど、もし隠してなかったら安西先生はセクハラになるんですからね」
「隠してなければ…ね」
「じゃあ、もし隠してなかったら先生は出てってください。さっきから邪魔してるんだから」
「良いでしょう。捲って御覧なさいな、さあ立って!」
「…はい、これでいいですか?」
「……これは…アップルパイの作り方…?」
「ただのメモです。カンペじゃないです」
「ちっ…囮でしたか」
「約束。出てって」
「ふん、本来ならカンニングと誤解される行為も罰則対象なのですが…まあ良いでしょう。私の負けです」
「当然でしょ、約束だもん」
「全教科終わったら担任の先生まで持って行って下さいね。では」


―――――――――――――――


「やったあ全教科百点ー!!」
「はいはい、良かったですねえ」
「へへーんだ!僕ってカンニングの才能あるかもー♪…あれ?なに見てるの?…ビデオ…!?!」
「可愛いですね、自らスカートを捲って私にパンモロを見せている高屋敷君は」
「そ、それが目的だったのかド変態がー!!!

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