「高屋敷君、納屋を片付けていたらかき氷を作る道具が一式出てきました。折角だから作ってみましょうか」
「やるやるー!!食べるー!!」
「そうですか、それは良かった。丁度ロックアイスの用意がありますからね」
「僕僕、僕やる。僕がグルグルやるー」
「力が要りますよ、大丈夫ですか?」
「んー…っ!!」
「…大丈夫ですか?」
「やっぱダメー。無理ー。センセやって」
「やれやれ、我侭な子ですねえ」
「はやくぅー!!」
「はいはい…ところで、ストロベリーフラッペと呼ぶのは邪道だと思いませんか」
「思うー!日本人なら黙って氷いちごだよね」
「高屋敷君、かき氷では何が好きですか?」
「んっとね、練乳イチゴ。センセは?」
「ブルーハワイですね」
「ベロ青くなるよー」
「ははは。妖怪人間ですね…どうぞ高屋敷君」
「わーい練乳イチゴー♪」
「美味しいですか?」
「うんおいしー!すずしー!!」
「そのスプーンストロー、私は掬う派ですけど高屋敷君は?」
「僕は吸う派ー」
「後半味が薄くなりませんか」
「またシロップかけるもん」
「子供ですねえ」

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「高屋敷君、スイカが切れましたよ」
「わーい伝助スイカー♪」
「…」
「なあに?」
「高屋敷君、先に種をほじくりだしてから食べるのですね」
「だってガリッてなったら気持ち悪いもん」
「ですが見栄えが悪い…と言うよりも、スイカの汁が肘まで垂れていますよ」
「気にしないもん」
「まあ好き好きですけれど…」
「うううべとべとして気持ち悪いー!!センセ布巾とってぇー!!」
「ほら見なさい、気になってるじゃありませんか」
「うわあーんとってぇー!!」
「泣くことはないでしょうに…子供というか、馬鹿というか…」

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「…」
「…高屋敷君、風鈴を無駄にリンリン鳴らさないで下さいな。うちわまで使って、喧しい」
「だって冷やし中華できないんだもーん」
「今もって来たじゃないですか。お食べなさいな」
「わーい冷やし中華ー♪」
「タレの濃さはこれくらいで良かったですか?」
「うんー…ちょっと甘め」
「そうですか?」
「でもおいしいよ」
「それは良かった」
「うん」
「それでですねえ高屋敷君」
「なあに?」
「こうしてのんびりと別荘ライフを過ごしていますけれど…」
「うん」
「今日は八月三十一日、夏休み最終日な訳ですが…高屋敷君、宿題終わってるんですか?」
!?う…うあああああああ!!!

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