「不味い」
「いきなり衝撃的な発言から始まらないでよ!人ががんばって作ったお昼ご飯に!!」
「作らせた手前、いくら私でも飲み込んでおきたかった言葉なのですが、何ですかこれは?一瞥して人の食べる物ではないというのが伺える色合いと固形感ですけれど」
「そこはなにがなんでも飲み込んでおいてよ!もう今の台詞でドン凹みだよー!!」
「それで結局これは何なのです?結果はともかく過程の時点では何を作ろうと?」
「…チャーハン」
これが!?!
素で驚かないでよ!!
「すみません、つい…ん?え?!チャーハンでこんなにも失敗を!?!」
「だからさっきから感嘆符が多いよ!!もっと冷静キャラでしょセンセはー!!」
「君が常軌を逸した訳の解らない物体を作るから悪いのでしょう!」
「今度はマジ切れされたようー!」
「全くよくもまあこんな気の触れた森の仔リスと切子硝子の摩擦熱の様なチャーハンが作れたものですね、これをチャーハンと呼べるのならばセイタカアワダチソウだってチャーハンですよ」
「意味が全然解らないけどムカつく!先生のアホ!!」
「こんな汚物を作る気の狂った高屋敷君にアホとか言われたくありませんねえ」
汚物ってなんだよ!!
「汚物を汚物といって何が悪いのです!」
「だーもう腹立つなあ!大体ね一時間以内に作れとか言うからそういうことになったの!もっと時間あったらまともなの作れたよ!!」
「へーえ成る程ねえ〜チャーハン如きで一時間以上必要なんですねぇ高屋敷君は?」
「…って言うかさあ、さっきから気になってたんだけど」
「はあ?」
「それ、食べるの。怒鳴りながらむっしゃむしゃやってるけど」
「食べますよ、高屋敷君が作ったのですもの」
「…」
「何です?私が君の作った汚物を全て平らげる事に何か不満でも?」
「…ないけどさ」
「どれだけ味覚が狂っていたらこんな泥の様な物体を練成出来るのでしょうね、口に押し込みながらにして反吐が出そうです。…ほら全部食べましたよ、とっとと皿を洗いなさいな」
「んー」
「さて、まだ日の出ている内にプール掃除をお願いしますね」
「んな?!ちょっとは休ませるとか考えてよ」
「高屋敷君だってプールに入りたいでしょう?」
「入りたいけどぉー…」
「暑い中プールに入ったら気持ち良いでしょうねえ〜…」
「…う」
「トロピカルドリンクの用意もありますし」
「んうー…」
「イルカの風船も大きな浮き輪もビーチボールも有ってねぇ…」
「んんん…」
「高屋敷君と一緒に遊べたら、楽しいでしょうね?」
あーもーやるやる!やるよー!!もーやればいーんでしょー!?」
「無理にとは言いませんよ、君が面倒なら」
「またそうやっていい子ぶっちゃって」
「いえいえ、良い子なのは高屋敷君の方ですよ。それじゃあ頑張って下さいね」

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