ガララ


「こんにちわぁ安西センセ。意外と早く復活して良かったですねー」
「ええ、クーラーも直りましたからね。それにしても今年の夏は実に暑いです。先生、今年はクーラーの無い所には出られません」
「僕んちクーラーないんだけど。つーか北海道のくせになんでガッコにクーラーあんの?」
「そりゃあ私が氷室さんに甘やかされているからですよ」
「…校長先生もなんでこんな悪魔に…」
「今年も君を何処かに連れて行ってあげたかったのですが…残念です」
「う、うん、残念といえば残念だけど、センセにどっかつれてって貰うと毎年ロクな事になってないから嬉しいといえば嬉しいなあ」
「やはり何処かへ行きましょう高屋敷君。多少の無理なら大丈夫です」
ああ言わなきゃよかった!!黙って置けばよかった!!いんだよセンセ無理しなくてー!!
「しかしクーラーが無いと流石に………そうだシベリアへ」
「あああいやそれはちょっと!だってほら!夏らしくないじゃん?!毎年夏らしいお出かけだしシベリアはやめようよー!!」
「夏らしい?……ああ、ならば軽井沢の別荘へ」
「えそんなんあんの?さすがボンボン…」
「で、そこで良いですか?」
「う?あー…んー…シベリアよりはねー…」
「では決定ですね、早速飛行機の手配と荷造りを」
「ええもう行くのー?僕もうちょっと心の準備してから行きたいなあ遺言書も書かなくちゃいけないしーモガッ!?!」
「飛行機は実家に頼んでおきましょう、あとは高屋敷君をトランクに詰めれば直ぐに出発出来ますよ」
「待って待ってムリムリ入んないよ間接が!間接がヤバい外れる外れるあああ砕けるアゲグッハアアアアァァーーー!!!



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「いやあ着きました着きました、五年ぶりです。相も変わらず海外に別荘を持てない貧乏人共の巣窟で気分が悪いですね」
「アンタマジで地獄に落ちるよ…」
「おや高屋敷君、自力で出てきたのですか?」
「暑ーい!!避暑地のハズなのに北海道より暑いー!!」
「本州ですものねえ」
「早くクーラーのトコ入ろうようセンセぇ…」
「ええ、倒れない内に…と、ああこれですね」
「あれ?意外と普通のコテージ系だね。なんかもっとでかいのかと思ってたー」
「あまり大きいと掃除も大変ですし。…えー…っと鍵、は…と」
「だ、大丈夫安西センセ?もうふらついてない?」
「…あーありましたありました。少し頭の回転が鈍って…」
「僕開けたげるよ先生。…んしょ…はい、おさきにどーぞ」
「ありがとう御座います。直ぐにクーラーの電源を付けますからね」
「うん!はあ…やれやれ疲れたあ〜…五時間近くトランクに入ってたし、おなかも空いちゃった」
「それでは食事を作って下さい高屋敷君」
「えええなんで?!なんで僕がー!?」
「良いですか高屋敷君。別荘というものはですね、本来執事もメイドも居ないものなのです。その環境で別荘の所有者が自炊をしたりするのが本来の別荘で過ごす休暇というもの、解りましたか?」
「ちょっと待ってよ、それなら働くのは安西センセなんじゃ…」
「つべこべ言うのなら野犬に襲わせますよ」
「うわあーん!!食材と包丁貸してくださいぃー!!」
「聞き分けが良い子で助かります。キッチンに全て揃っていますから、一時間以内に完成しなければ野犬に純潔を奪われると思っていて下さいね☆」
ああああ僕もう帰りたいー!!

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