汗の代わりに血が飛び交い
歓声の代わりに悲鳴があがる
けど知らない。僕のせいじゃないから
大きな大きなゾウさんの足が、ぶちゅぶちゅ人を潰してく
まるで葡萄酒作りみたい
でも色がちょっと違うかな
出来上がるのは、そう
ブラッドオレンジジュースだものね
『止めろ!止めてくれよ…高屋敷、俺ら友達だろ?なあ…!?』
『お願い高屋敷君止めて!!動けないのよ、怪我してるのよ、逃げられないのよ!だからこっちに来ないでお願いだか
ら!!』
『いやだ、助けて、どうしたの高屋敷君?!お願い殺さないでどうしちゃったの高屋敷君!?!』
「……解かんないよ…僕に言われても、困るの………ゾウさんに言って?」
『ひっ!?は、やめやめやめて高屋敷くミギイイィィィ!!?!』
『いやあああああああ!!!美那子!?美那子!!美那おべっっ!!』
『どうしてだよどうしてこんなことになったんだよたのむよころさないでくれたかやアゲゴオッゥ!!!』
「あと…何分かなあ…?……あと、何時間かな?何日かな?何年かな?………あと、どれくらいすれば…これ、終わる
のかなあ?」
〔制限時間十秒を切りました…皆さん最後まで諦めずに潰しましょう……5、4、3、2、1…〕
(ビー――――!!!)
〔試合終了、試合終了、参加者は速やかに元の位置に戻って下さい…人数測定を行います速やかに戻って下さい…〕
―――――――――――――――
「…いやあお疲れ様でした高屋敷君。残念ながら一位ではありませんでしたけれど、なかなか健闘していましたね」
「何かが遅過ぎた気がする」
「ん?何ですって?」
「……ううん、なんでもないの。…自分でも、よく分からないから」
「もしかして、お腹が空いているのではありませんか高屋敷君?もうすぐ昼食タイムという名の夜食休憩の時間ですか
らね」
「え…もう?………じゃあ、僕はどれくらいの間、人を…友達を…!?」
「高屋敷君」
「…っ」
「君は、何も、していません。そう言ったでしょう?」
「う…ん……?」
〔夜食タイムです…皆さんしっかり食べて英気を養って…〕
「ほら、放送も言っていますよ。学校長も待っていることですし早く行って食べましょうねぇ、高屋敷君」
「あ…うん」
「疲れているでしょう、抱っこして行ってあげますね?いらっしゃい」
「うん………ねえ、でも、先生僕…」
「…」
「なにかすごくいけないことをした気がするのねえ僕はなにかすごく(ゴスッ!!)オゴオォッッ!!?」
「学校長を待たせては、無礼にあたると言っているでしょう高屋敷君…困った子ですねえ」
「あ……ゲホアァッッ!!あ、あ、あ、潰れた…潰れた…いっぱい、いっぱい内臓潰れたオゲェエエェェ!!」
「ふふふ、高屋敷君たら三年連続血塗れの舌でお弁当を味わう羽目になりましたねえ」
「どうして…?どうして僕がこんな目に…?!」
「君が愚かだからです。良くも悪くも…さあ、お弁当にしましょうね☆」
「もういや殺して!殺してもういやころしてえええぇぇぇーーーー!!!」