(「えー…皆さん、今日は月も騒いで良い体育祭日和ですね。運が良いのか悪いのかは知りませんが


さて、ルール説明に入ります

一昨年、昨年と続けて各学年+教員チームの4チーム対抗戦だった体育祭ですが、今年は若干の変更があります
簡単に言うと、そうですね

殺して下さい

敵に会ったら敵を殺せ、友に合ったら友を殺せ。目に付いた相手を片っ端から殺して下さい
競技中はもちろん、応援の時間、昼食の時間、 ありとあらゆる時間に殺して構いません
兎に角手当たり次第に殺して下さい
今年は後半の部から父兄も参加する事になっていますが、躊躇わずに殺して下さいね
体育祭終了時に生き残っていた方が勝者です


さあ皆さん、今宵闇に掲げた銀の月玉を血で染め上げようではありませんか!!」)





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「ついに開き直ったね、安西先生」
「面倒で」
「面倒で死ぬ人間の身にもなってよ!!」
「じゃあ、じっくり拷問をしてあげます」
そっちじゃないよ!?手間暇はかけてくれなくていいよ!」



〔第一競技、野球の試合を始めます…参加する生徒は…〕



「…ん、ちゃんと開始時刻通りですね」
「あれ、一応競技はあるんだ」
「単なる殺し合いだけじゃ飽きますものね、やってることは一緒ですから」
「…はあ…ところで、センセはなんの競技に出るの?」
「ああ、野球に参加しますよ」
「そうなの?頑張ってねとは言いたくないけど頑張ってね」
「余りやる気はしないのですが…。ああ、そうそう、野球は延長がウザいのでルールを若干変更しているのですよ」
「どんな?」
「殺したら勝ち」
捻りもなにもない!!
「だって野球のルールなんて知りませんものねぇ、知りたくもないですし」
「アンタスポーツ嫌いだろ」
「嫌いですね、健康の為にも護身の為にもならないパフォーマンスの為だけに存在するスポーツは。野球とか新体操とかゴルフとかバスケとか、高がゲームで何を必死に価値も無い得点を追い求めているんですかね。もちろんオリンピックなど滅べば良い」
いやバスケは嫌っちゃダメですよ!?もっと自覚を持ってよ!!
「とは言っても、ゲームに本気を出せない人間は人生に本気を出せないのと同義です」
「ふえ?じゃあ…」
「ええ、皆殺しですよ」
だからそれは野球じゃない!単なる殺し合いだよ!」
「身体を動かしさえすればそれは何だってスポーツなんですよ。ボウリングですらスポーツとしてまかり通っているではありませんか」
「詭弁だ…思いっきり詭弁だ……もういいや、先生早く行きなよ。もうみんな集合してるよ?」
「いえ…まだあと2人ほど集合していない生徒がいますし」
「はあ?だからって行かなくていいってことじゃないでしょー?トリ気取ってんの?」
「いや、折角爆薬を仕掛けたのですから全員一度に爆死させた方が効率が良いですし」
戦う気すらないのかよ!?スポーツマンシップに則ってよ!!」
「何ですかそれは。聞いたことありませんねぇ」
「ダメダメダメー!!せめて皆には戦って死んでもらいますー!!勇敢な戦士の闘志を踏み躙る行為は僕が許しません、その爆破スイッチ預かります。ちょうだい!!」
「え〜?」
「だめったらダメ!…もう、これ僕が持ってますから絶対押したらダメですからね!?」
「生徒のくせに教師から没収とは、驕りもいい加減にして下さいな」
「いい加減にするのは安西先生の方!!いいからもう早く集合するのー!!」
「ちっ…」
「ほら行った行ったぁー!ちゃんと真面目に戦ってよね、殺すなとは言わないからさ」
「…」
「なに?」
「…別に、良いのですけれどね…







 随分殺人に抵抗がなくなったなあ、と」
「………!?!

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