「夜だけどいい体育祭日和のお天気ですねセンセー」
「ええ、満月がよく見えます。無事に体育祭が開催出来て良かったです」
「なんだかんだで体育祭、三年間ずっと遅れて開催でしたね安西センセー」
「ええ、五月の予定が何故か毎年毎年六月に延びてしまいました。何故でしょうね?」
「最初から六月にしときゃいいのに」
「まあ良いじゃありませんか」
「別にいいけどさ…いつ開催されようがどうせ殺されるんだもんね、体育祭って毎年生徒一杯死ぬもん。…やだなあ…」
「あ、今年も逃げ出すような不埒な生徒は罪を命で購ってもらいますよ。フェンスには電流を流していますし鉄条網にはストリキニーネを塗布しましたし校舎のぐるりは対人地雷を蟻の子一匹通さぬほどにびっしりと埋めました。ここまでするにはとても苦労しました」
「その意欲をもっと他に向けられないの!?」
「ですが、有志を募ったところ沢山の生徒さんが集まってくれまして。思ったよりもスムーズに設置出来ましたよ」
もうイヤだこんな学校ー!!どいつもこいつも狂ってやがる!!」
「逆に考えてみてはどうです高屋敷君。つまり、三年生な君はこの一日が過ぎればもう体育祭はやらずに済むのですよ」
「え?…あ……そ…そっか!そうだよね!よーし今日僕頑張って生き残りますねー!!」
「……軽いオツムです」
「なんか言った?」
「いいえ何も?さあ、整列の時間です、もうお行きなさいな。……首が飛びたくなかったら、ね」
じゃあ僕並ばなくちゃいけないんで!!先生また後で!!






『【…と言う訳で、今年も伝統ある我が学院の体育祭は良い天気となりました。皆さんの日頃の行いが良いせいで、太陽も元気に顔を出していますね!!】』

「(校長先生、三年間同じスピーチだったなあ…今年も黒いモヤに包まれてるし)」

「三年間で三回スピーチを聞けた生徒は一握りですけれどね」

「あ、今年も思考を読まれた」

『高屋敷君、静かにしていないと。折角の校長先生のスピーチも途中までしか聞けなくなるよ』

「わあ、生徒会長にまであからさまに脅された…やっぱもう生き残る期待とかしない方がいいのかな?」

「え?そんなものをしていたのですか?」

「さっきアンタが言ったんじゃん!!(メゴチッッ!はごおっ!?

「やれやれ、折角会長君が注意してあげたというのに、困った子です」

『俺の注意の仕方が悪かったのでしょう。申し訳ありません、安西先生』

「お…おごぉお……ぐ、あが……死ぬ…」

「いいえ、私がもっとちゃんと躾けていれば良かった話です……と、学校長のスピーチが終わりそうですね…」

『安西先生ルール説明の時間ですね。生徒全員が清聴するよう、気を配っておきます』

「まあ、そんなに大した内容ではありませんけれどね。それよりも、高屋敷君が自立出来なくなってしまったので会長君、持っていて下さいな」

『はい。安西先生』

「では、行って来ますね」

『行ってらっしゃいませ』

「い…いってらっしゃい………




今年こそマトモなルール説明聞きたいなー…」

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