♪I'm a hungry spider you are beautiful butterfly 叶わなーいとこの恋を捨てーるーならー

 はあ…こないだは思いっきり虐待してたけど、今日は安西センセ、智美ちゃんに変なことしてないかなあ…?
      ん?」


(『ダメぇお父様ぁ…こんなことしたら、お母様にしかられちゃう…』
 「大丈夫ですよ、何も心配しなくて良いのです…ね?」
 『でもぉ…』
 「智美君は良い子ですから、ちゃんと言う事を聞いてくれますよねぇ…?」
 『でも、でもぉ…』
 「それとも、父様の言う事を聞けない…悪い子だったのですか?」
 『あ…お父様……ボク』)


ガララバシャーン!!


なにやってんだアンタ等はあぁーー!?!!


『あ、お母様★』
「おや高屋敷君、まんまと引っかかりましたね」
「…は?引っかかる…?」
『お父様スゴーい!ホントにお母様怒ってるー!!』
「ふふ、凄いでしょう?ちょっとしたお芝居だけで、人の感情も操れるのです。そのうち智美君にも教えてあげましょうねぇ」
「なっ…!?だ、騙したんですね安西センセー!!?
「ええ」
『だましたのー』
「智美ちゃんまで!?いい加減にしてください安西先生!いたいけな子供に人を騙すことを教えないでよ!!」
「あーあーはいはい解りましたよ…」
「真面目に聞けよ!!アンタみたいな親が子供を非行に走らせたり引篭もりにしたりするんだよ!!」
「解りましたったら…全く、しつこい子です」
「くっ…僕これから掃除あるんで、ひとまずこれで帰りますけど!後で来た時にはもっと長い文句がありますからね!!いくら先生でもこればっかりは一歩も引きませんから!!じゃあねっ!!」


ガララピシャン!!



―――――――――――――――



♪貴ー方のおひーめ様ーはーーだーれかーとーー腰を振ってるーわーーー人は弱いものよーそして儚いーものー…

 …はあ、まったくもう安西先生がマトモじゃないから僕がこんなに苦労しなくちゃいけないんだから…
        ん?」



(『お父様っ…お父様ぁ!!』
 「…大丈夫大丈夫…恐がらなくて良いですからね…」
 『ぁ…っ…熱い、の……お父様ぁ…助けて……!!』
 「恐がらないで良いのですよ…智美君は、大人になれるのですからね…」)


ガララバシャーン!!!


なにやってんだアンタ等はあぁーー?!智美を上半身裸に剥きやがって…とうとう性的虐待のシッポ掴んだからな!!」
『あっ…お母様ぁ…助けてっ!!』
「!?だっ大丈夫だよ智美ちゃん!こっちおいで!!」
「……高屋敷君、危ないですよ」
はあ?!危ないのは安西先生ですよ!!」
『…お母様…』
「変態だとは思ってたけど子供に手を出すなんて最っ低です!もう智美ちゃんに…」
『背中が、熱いの』



刹那

智美ちゃんの薄い背中が引き破れ

一対生え揃ったのは

身の丈よりも大きな

血濡れの大きな赤い羽根



「な…ななな…!?!」
「本当に失礼な子ですねぇ〜高屋敷君?この私が子供に手を出すようなゲスに見えますか」
「え…いや…微妙?」
「年下には抱かれない主義です」
「…智美ちゃんが抱く方なんだ…じゃなくて!!なになになにコレ?!なんだってのさ一体ー!?!
「羽が生えたんですよ。可愛いでしょう?」
「可愛いって…だけで生やしたの?どうやって!?」
「遺伝子を弄ったと言ったじゃありませんか」
「そ、それにしたって羽を生やすのはやり過ぎですよ!!」
『…いいの、お母様…』
「え?」
『子供は巣から飛び立つものだってお父様よく言ってたもの』
「で、でも智美ちゃん…」
「……智美君」
『なあに?お父様』
「…大きくなりましたね」
『…うん…』
「あ……智美ちゃん、気を付けてね?なんかあったら帰ってきていいからね?」
『ありがとお母様…でもお父様はお母様のだけじゃないよ、ボクの分もだから』
「何度も言うけどいらないってば」
『ツンデレ?』
「違うって…」
「さあ智美君、そろそろ出発なさい?日が高いうちに…ね」
『うん。……ん…あの、ね?最後にもっかい…ワガママしていい?』
「ん?もちろん、良いですよ」
「なあに智美ちゃん?」
『あのねえ…お父様とお母様にね、最後にもっかい………だっこ』
「…ええ…いらっしゃい、智美君」
『ん…お父様…お父様大好き』
「智美ちゃん…おいで」
『お母様ぁ…お母様も好き。大好きなの…』
「…」
「智美ちゃん…」
『大好き。二人ともずっとずっと大好き。離れてもずっと…ずうっと大好きだから』
「私も…お父様も、大好きですよ。何処に行っても智美君のことを……だから安心して、いってらっしゃい」
「僕も。お母様も、いつまでも大好きだよ。だから心配しないで、いってらっしゃい」
「うん!!いってきます、お父様お母様★」





開け放った窓から飛び立った智美ちゃんは

僕達の方を振り返る事無く

青い空へと消えていった

赤い色が見えなくなった頃の安西先生は

いつになく寂しそうで

僕はなんだか泣けてきてしまった





―――――――――――――――






「はーやれやれ…子育てもなんとか無事に終わったかなー」
「おや、無理矢理妊娠させられたにしては寂しそうですねえ?」
「センセこそ。って言うかさー、今回はなんて言うか…だいぶBL風味でしたねー…」
「ええ、正直反省してますよ」
「妊娠ネタを使った時からもう予想付いてたけど」
「なんだかもうどうでも良くなってきちゃいまして」
「うん、最後の一線は忘れないでね?」
「ところで…ねえ、高屋敷君?」
「ふえ?」
「智美ちゃんの成長スピードを覚えていますか?」
「え…三日で15〜6才…くらい?」
「ええ。……で、そのままのスピードで成長し続けたら、どうなると思います?」
「…………まさか!?!」
「まあ、一週間後には老衰ですねえ〜」
夢も希望もねええ!!


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